この東証住宅価格指数は中古マンションのデータで算出しているので、新築マンションの指数も見ておこう。参考となる指標は、不動産経済研究所が公表している新築マンションの契約率だ。それによると、首都圏の新築マンション契約率は3月79.7%、4月76.0%となっている。「絶好調」の目安である80%には及ばないものの、それに近い数字といっていいだろう。

 また、市場における商品供給数も十分だったといえる。これは、2009年に住宅価格が底を打っていたことを感じ取り(つまり、その当時に今後の需要増を予測して)各ディベロッパーなどが土地の仕入れを行っていたためである。

 このように十分な供給数と契約率だけを見ていると、首都圏における不動産への地震の影響は少ない、あるいはあまりないと感じられるもしれない。

 とはいえ、すべてのマンションに地震の影響がなく、売れているかというとそうではなさそうだ。実際は、売れている物件とそうでないものに大きな差がある。それは、消費者がマンションを選ぶ際の視線がより厳しさを増しているためだ。では、震災を経た今、マンションを選ぶ際のポイントはどう変わったのだろうか。4つのポイントを挙げて、説明していこう。

1)高層マンションに住むのは不安?

 1990年代終盤あたりから20階を越える超高層マンションが一気に増加した。多くの物件が人気を集め、特に眺望のよい上層階は大人気となり、最上階は数億円する部屋であっても発売即日完売という状況が見られた。近年は、かつてほどの狂乱のムードはないが、高層マンション人気は根強かった。

 しかし、今回の大震災直後、高層マンションではエレベータが停止し、上り下りできない(階段なら相当な労力)という事態が起こった。また、地震発生時、高層階の揺れが非常に大きくなることから、高層階に住むことは低層階よりも心理的な不安を高めるという一部の指摘もかつてからあった。言うまでもなく今回の震災やそれに伴う原発問題、そして発生が懸念されている直下型地震により、首都圏住民の不安は増大している。こうした心理的な面からは、以前より高層マンションの人気は落ちていると考えてよいだろう。また、購入予定者の視線は高層マンションでも低層階に向いているようだ。

コンサルタントの視点)
高層マンション人気に若干の陰りはあるが、都心マンション自体の人気は落ちない。また、首都圏の限られた土地を有効活用するためには、マンションの高層化は避けて通れない。これはオフィスビルにも言えることであり、一時的には敬遠されるかもしれないが、今年中に需要は元に戻るのではないだろうか。

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湾岸物件の人気はどうなる?

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