バリュー・チェーンとは、「価値の連鎖」のことであり、購買した原材料等に対して、購買物流、オペレーション(製造)、出荷物流 、マーケティング・販売、サービス等の各プロセスにおいて、価値(バリュー)を付加していくことが企業の主活動であるというコンセプトに基づいた考え方である。

 各産業にはその産業独自のバリュー・チェーンが存在する。そこでは、業界の成長に大きな影響を与えるキープロセスや、逆にボトルネックとなっているプロセス、またそれぞれのプロセスに参入しているメインのプレーヤーの動向を把握することで、その産業や業界全体の特徴的な構造を理解することができる。

 以上のような5Forces、PEST、バリュー・チェーンなどのフレームワークを利用することで、およその当該産業の現状及びその構造を理解することが出来るといえる。皆様が属する業界に当てはまると、どのような結果になるだろうか。

業界構造に存在する
いくつかのパターン

 このような、業界分析を行なうことで、見えてくる各市場・業界の業界構造には、実はいくつかの典型的なパターンが存在する。

 パターンを決定づける条件がいくつかあり、実務上、私たちは条件にターゲット業界の現状を照らし合わせる。

 例えば、多数の中小企業が存在し、市場シェアが分散化されていて、主要技術を占有する企業も存在しないような業界は「市場分散型業界」と呼ばれる。住宅・不動産業界の多くはこの市場分散型業界に位置づけられる。

 マイクロプロセッサや半導体などの精密部品業界、パソコン業界、バイオテクノロジー業界など、技術革新や市場需要の変動、新しい顧客ニーズなどの出現によって、新たに生まれた業界、またはいったん消えたが復活した業界などは、「新興業界」と位置づけられる。

 ファストフード業界などに代表されるような、新しいビジネスのルールが普及し、技術が競合他社によって拡散し、新製品や新技術の革新のスピードが鈍化しながら、業界全体の利益率が低下しているような業界は「成熟業界」。更に業界全体の売上規模が減少し続け、市場の機会よりも脅威が大きくなった業界は「衰退業界」と呼ばれている。

 さらに、市場が国内のみならず国外にも広がる業界は「国際業界」、電話やFAX、パソコン用アプリケーションソフトの業界など、製品やサービスの価値がそれらの製品やサービスの販売量に依存するような業界を「ネットワーク業界」などと呼ぶ。

 「販売量に依存する」とは、例えばこういうことだ。電話機を所有する人の数がごく僅かな社会の場合、電話機は価値のある製品とは言い難い。ところが、莫大な人数が電話機を所有するようになると、コミュニケーションツールとしての電話機の価値は劇的に向上する。FAXやパソコン用アプリケーションソフトも同様だ。「ネットワーク業界」を換言すれば、このような製品価値とこれまでに販売された製品の数との関係において、収穫逓増の関係が認められる業界と定義することも出来る。

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業界に付随する戦略的機会を理解する

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