短期の予測や意思決定は
現場を見ることが基本
これまで見てきたように、PESTや5Force、バリュー・チェーンなどのフレームワークを用いて、市場や業界、産業の全体構造を把握し、いくつかの特質を捉えた上で、先の業界パターンに当てはめ、そこに付随する戦略的機会を押さえることで、およそ、その業界のマクロ的な現状、将来の動向などを押さえることは可能になるといえる。
しかし、本コラムのタイトル「半年先の景気を読む」にあるような、「短期の予測」をおこなうには、これだけでは十分ではない。
それは、例えば、長期的には株価や為替の動きも理論的傾向値に収斂するが、短期では様々な事情や思惑が絡み合い、その予測は極めて困難であることと同様である。
このような短期の予測については、やはり実際の現場での感覚値を大切にするべきだ。競合他社の実際の今の現場の動き、お客様の反応、ニーズの微妙な変化、市場価格の変動等、具体的かつ細かな動きをつぶさに観察し、感覚を鍛えていくしか方法はない。
実際に私たちもクライアント企業の今の数字、実態、現場を重視している。
しかし、何の目安や方向性も持たずに現場を見る場合と、長期的なトレンドを踏まえたうえで見る場合とでは、出てくる答えも全く異なるケースが多い。例えば、現状が一過性のものなのか、長期的なトレンドを形成した動きなのかの判断が、それにあたる。
2012年もわが国は政治、経済、そして地震や災害リスクも含めて、極めて不確実性の高い1年になるといわざるを得ない。
バブル崩壊以降、あらゆる産業において高度成長期時代に作られた産業構造の転換が叫ばれながらも、その遅れが顕在化し始めていたわが国は、そこに追い討ちをかけるような形で人口減少、デフレ、地震といった、自らの力では避けられないリスクに直面することとなった。
この難しい時代の中で、企業も個人も現状をマクロに俯瞰できる力と先を見据える力は、今後、さらに生き残りをかけた激しい戦いの中で、強く求められる能力の1つであるといえるだろう。
そんなサバイバル手法として、今回のコラムが少しでもお役に立てれば幸いである。
<筆者プロフィール>

久木田 光明
船井総合研究所 経営コンサルタント
Real Estateチーム
専門領域は住宅・不動産セクター。
ハウスメーカー、マンションデベロッパー、不動産仲介、賃貸、管理会社のコンサルティングを中心に、調査・分析、戦略・戦術策定を行うと共に、現場支援を重視した活動も広く展開。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。



