さらに重要なのは業界に付随する
戦略的機会を理解すること

 他にもいくつかパターンは存在するが、これらが業界を定義する際の条件の代表的なものである。さらに重要なのは、それぞれの業界に付随する戦略的機会(ビジネスチャンス)についての理解である。

 「衰退業界」といえば、一見するとそこには戦略的機会が全く存在しないような印象を持たれるかもしれないが、機会はこの「衰退業界」にも存在する。

 衰退期においては、需要減退に伴い生産や流通などで過剰供給能力が生まれる。よって、需要サイズに応じた業界全体としての生産調整が必要となり、業界再編の流れに拍車がかかる。その一方で、再編後に効率化できた企業は、むしろ以前より脅威が小さくなるという効果も生まれる。

 すなわち、業界の再編プロセスの中で生存確率を高めるには、再編前に業界で市場リーダーの位置を確保することが重要であるといえる。よって、「衰退業界」においては、「市場リーダーシップ戦略」も重要なオプションであることが理解できるだろう。

 他にも、事業範囲を狭く取り特定のセグメントに集中にする「ニッチ戦略」、ある程度長期の期間をかけてシステマティックな撤退を計画し、業界の最後の収益を刈り取る「ハーベスト(刈り取り)戦略」、比較的短期で撤退を実行する「撤退戦略」など、「衰退業界」にもそこに付随する戦略的な機会はいくつか存在するのである。

 他の業界パターンにも同様のそれぞれに付随する戦略的機会は存在する。

 これらの戦略オプションを踏まえ、当該事業や企業のおかれる業界や市場の基本的な構造や枠組みを理解し、今後の全体の動向、そして自社(自分)が選択すべき方向性に対して、目安をつけるということは、極めて重要な視点であるといえるだろう。

 これらの視点をベースに、業界のマクロのデータやメインプレーヤーの直近の動向などを収集し、仮説を検証できれば、よりその精度は高まる。

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