電子部品の安定動作に
貢献する「iCas(アイキャス)」製品
電気絶縁紙の国産化に成功して以来、「特殊紙の巴川」としての評価が定着、高度成長期以降には、紙以外の絶縁材料にも進出した。60年代はプリンター用トナーの分野に参入し、磁気切符の提供も開始。80年代以降は、エレクトロニクス機器向けに半導体パッケージの国際標準となる製品を展開。今世紀に入ると、フラットパネルディスプレー用の光学フィルムを開発、LCD(液晶表示装置)の発展に貢献した。ちなみに現在トナー専業メーカーとしては世界トップ(※)、車載半導体に多く使用されている“リードフレーム固定テープ”では高い信頼性を得て、世界シェアの9割以上を占めている。
その同社が現在注力しているのが、「iCas」という自社ブランドだ。
「車のEV化やIoTの普及が加速する中、電子部品には小型化、軽量化、ハイパワー(高電圧・大電流・高周波)が求められています。そのとき必要となるのが、熱や電気、電磁波のコントロール技術。当社では、これまで培ってきた技術力を駆使して、電子部品の安定動作に貢献したいと考えています」(井上社長)
つまり「iCas」とは、電子機器の機能を熱やノイズから防御し、機器の機能を最大限に生かすことに役立つ“熱・電気・電磁波コントロール材料”である。例えば、自動車の衝突防止システムに使用される“高周波対応電磁波吸収シート”などもその一つ。この分野はこれから需要の増加が見込まれるため、同社では品そろえを拡充している。
※「会社四季報」2018年3集 夏号(東洋経済)による