MID TOWER GRANDは“買い”?
価格・スペック・立地をプロが徹底調査!
価格は高いが、中央区では稀な立地条件

2019年3月3日公開(2024年4月11日更新)
櫻井 幸雄

新築マンション「MID TOWER GRAND」は東京都中央区の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。中央区の規制で高さが抑えられた分、価格は高めだ。建物のスペックは申し分ないが、パチンコ店が建物下層部に入るのを気にする人もいるはずだ。それでも販売が順調なのは、2路線の地下鉄駅から徒歩2分という立地に魅力を感じる人が多いからだろう。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。

中央区では珍しく駅近で買い物も便利な立地

 湾岸エリアの中央区に位置し、東京メトロ有楽町線月島駅から徒歩2分、もしくは都営大江戸線月島駅から徒歩2分となるマンションがMID TOWER GRAND。地上32階建てで総戸数503戸の大規模だ。

 じつは、湾岸エリアで中央区アドレスとなる場所は少ない。中央区アドレスなら、東京駅や銀座エリアに近く、便利さが際立つ。そして、中央区とはいえ、湾岸エリアであれば、価格が抑えられるという期待も膨らむ。

 つまり、中央区と湾岸のいいとこ取りの立地で、24時間営業のダイエー月島店に徒歩3分など生活しやすい条件も備えている。中央区内で、買い物便利という条件を備える点も希少だ。

 加えて、湾岸エリアでは、駅に近いマンションが意外に少ない。駅から歩いて10分以上、もしくはバスに乗らなければならない立地条件のマンションが複数ある。東京駅や銀座に近い位置関係なのだが、駅からは遠いというマンションが珍しくないのだ。

 その中にあって、2路線の地下鉄駅から徒歩2分という立地条件に魅力を感じる人は多いだろう。「中央区」で「買い物便利」「駅に近い」と複数の希少条件を併せ持っているのが、MID TOWER GRANDの立地特性といえる。

 ちなみに、同マンションの場合、銀座から1.8㎞圏で、東京駅からは2.5㎞圏となる。銀座、東京駅への距離は豊洲エリアの半分、といったところ。湾岸エリアのなかでも、特に都心中枢部に近い立地条件となる。

MID TOWER GRANDはガラス張りのペントハウスが際立つ32階建ての新築マンション

MID TOWER GRAND(※新築時のデータです)

価格
4,900万円台~2億6,500万円台
完成時期
2020年10月予定
  • 東京都中央区月島1丁目5000番他(地番)
  • 東京メトロ有楽町線「月島」駅 徒歩2分他
間取り
1LDK~3LDK
専有面積
40.49~130.09㎡
総戸数
503戸
売主
三井不動産レジデンシャル、丸紅、大成建設
施工会社
大成建設

※データは2019年3月3日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

1LDKが5000万円超と、湾岸エリアでは高い価格水準

 その住戸は、約40㎡から130㎡の1LDK〜3LDKとなり、分譲価格は約41㎡の1LDKが4900万円台から、約65㎡の2LDKが7500万円台から、約70㎡の3LDKが8000万円台からという設定。地上20階を越える超高層マンションの場合、住戸の価格差が大きくなり、最低価格を見ただけでは、全体の価格水準をつかみにくい。

 約40㎡の1LDKが4900万円台からという最低価格だけをみると、購入しやすい価格水準と思えるが、実際に数が多いのは5000万円を超える1LDKで、6000万円前後の予算が必要になる。

 これまで、湾岸エリアで分譲されたマンションのなかでは、もっとも高い価格水準だ。といっても、前述したとおり、銀座や東京駅に近い中央区アドレスで買い物便利、駅に近いことを考え合わせると、無謀に高い設定とも言えない。

 実際、販売が開始された直後は「価格が高い」という声があったが、その後、順調に販売が進んでいることをみると、納得する人が多くなったということだろう。

 不動産業界では、「MID TOWER GRANDは今後、湾岸マンションの価格設定の指標になる」とみられている。湾岸マンションで、条件のよい物件は1LDKが5000万円台以上、3LDKは8000万円台以上、という価格設定が当たり前になるということである。

 この価格水準は、現在、武蔵小杉駅や横浜駅、三鷹駅、国分寺駅など郊外の駅近マンションと同等である。そう考えれば、MID TOWER GRANDは飛び抜けて値段の高いマンションとはいえない。

中央区の高さ規制で高くなった分譲価格

 MID TOWER GRANDは、地上32階建て。従来、月島や勝どきなど中央区の湾岸エリアで建設されていたマンションと比べると、3分の2程度の高さとなる。従来、このエリアでは50階を越えるマンションが次々に建設されていたからだ。

 超高層と呼べる基準は、地上60mを超えること。階数にしてだいたい20階以上となる。地上50階を越えるマンションは、超高層のなかでもひときわ高い物件となる。そのような「超」の上にもうひとつ「超」が付くようなマンションが建設できたのは、行政の許可が下りたから。中央区が特別に認めてくれたからだ。

 その背景には、定住人口を増やしたいという中央区の方針があった。それほど、中央区の定住人口減少は大きな問題だった。しかし、超高層マンションを増やした結果、中央区では定住人口が増加。今度は小学校が足りないという事態を招きかねなくなった。

 そこで、高さ制限の緩和を以前ほど許さなくなり、その流れのなかでMID TOWER GRANDは、地上32階建てとなったと推測される。高さが抑えられる分、分譲価格は高くなってしまう。湾岸エリアは、売れ行きの良し悪しに関係なく、新築分譲マンションの価格が上がる状況が生まれているわけだ。

建物下層部に入るパチンコ店はマイナスか

 MID TOWER GRANDは建物の魅力も大きい。最上階の32階にスカイラウンジやフィットネススタジオなど共用施設が充実する。ガラス張りでペントハウス風の最上階が建物のアクセントにもなっており、「個性的なマンション」を印象づける。

 超高層マンションが多数建つ場所なので、このように他との差別化を図る外観は好ましい。

 2LDK、3LDKの間取りは分譲価格が高くなるが、ワイドスパンで住み心地がよさそう。1LDKは平均的だ。トランクルームが付くのだが、その面積は専有面積に含まれる。つまり、住戸面積の一部はトランクルームの分となる。専有面積とは別にトランクルームが付いていれば、もっと得した気分になれたかもしれない。

 間取りには、柱の食い込みが目立つ。近年、超高層マンションでも、柱を住戸の外に出すケースが増えているが、この建物は住戸内に入り込む柱が少なくない。これは、専有面積の一部が柱に取られていることを示すのだが、一方で柱が少ないという特徴もある。「間取り四隅に4本の柱」ではなく、間取り内に2本の柱というパターンがある。特に、1LDKでは住戸内の柱が少ない。これは、効率のよい設計といえる。

 最後に、建物下層部には地権者の商業施設が入る。その中には、パチンコ店やもんじゃの店も入る予定になっており、そのことを気にする人もいるだろう。

 じつは、同様にパチンコ店が入る超高層マンションの例は、これまでも都心部で複数あった。江戸時代からの「都市」である東京都心部では、その地で営業してきた飲食店やパチンコ店がマンション下層部に入るケースは少なくない。

 これまでのケースで言えば、いずれも、音対策や匂い対策が十分に行われているし、パチンコ店は目立たない設置方法となる。そのため、生活にも中古での売却にも支障は出ていない。今回も同様になると考えられる。

 

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