世界の4大中央銀行が「タカ派」に転じたうえに、「オミクロン型」の感染が世界的に拡大。さらに、バイデン米政権の看板政策の実現が不透明になったことで、日米株式市場が乱高下しています。
米国のFRB(連邦準備理事会)は12月15日にテーパリングの加速を決定し、英国のイングランド銀行(中銀)は16日に政策金利の引き上げ決定。ECB(欧州中央銀行)と日銀もコロナ禍に対応した緩和策の縮小を決めました。このように、これまで金融緩和でマネー供給を主導してきた4大中央銀行が、そろって緩和縮小に前向きな「タカ派」に転じました。これは、高まるインフレリスクへの対応です。
例えば、11月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の上昇率が6.8%と1982年以来の大きさでした。前月比の上昇率も11月は0.8%と18カ月連続のプラスで、10月の0.9%に次ぐ高い伸びでした。
また、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大し、欧州ではオランダが12月19日からロックダウンに踏み切り、ドイツも渡航制限を強化。さらに、英国のジョンソン首相が20日、感染拡大を食い止めるためにあらゆる措置を検討すると表明するなど、他の主要国も厳しい行動制限を課すのではないかとの警戒感が高まっています。
一方、米国でも、劇場の閉鎖やスポーツの試合を延期する動きが広がっています。
また、「オミクロン型」が世界で急拡大したため、世界経済フォーラム(WEF)は12月20日、2022年1月に開催を予定していたダボス会議を同年の初夏に延期すると発表しました。
このような状況を受け、市場では、経済活動の制限によるサプライチェーン問題の長期化や、景気停滞への警戒が強まっています。
米国では、バイデン大統領の看板政策である
1.75兆ドル規模の歳出・歳入計画法案に暗雲が!
また、米国では、バイデン政権の看板政策とされていた、子育て支援や気候変動対策に10年で1.75兆ドル規模を投じる歳出・歳入計画法案の実現が不透明になっています。というのは、12月19日に、与党・民主党内のジョー・マンチン上院議員が反対を表明したからです。
勢力が 拮抗する上院(定数100)で法案を通すには与党の全議員の賛成が必要で、このままでは法案は頓挫する懸念が出てきました。看板政策が頓挫すれば、バイデン氏の求心力の大幅な低下は避けられない情勢です。
日経平均株価が75日・200日の2本の移動平均線を
下回っているうちは「中長期的な調整局面」が継続!
このような状況を受け、12月20日のNYダウは前週末比433.28ドル安の3万4932.16ドルでした。
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示
また、日経平均株価は12月17日と20日の2日間に、終値ベースで1128.51円も下落しました。しかし、20日終値が2万7937.81円と2週間ぶりに2万8000円を下回り、指標面などでの割安感も意識されたこともあって、21日は自律反発狙いの買いや売り方の買い戻しもあり、前日比579.78円(2.08%)高の2万8517.59円と3日ぶりに大幅に反発しました。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示
ただし、日経平均株価に関しては、75日移動平均線(21日時点で2万9104.02円)と200日移動平均線(同2万8844.98円)の両線を下回っている限り、「中長期的な調整局面」と見ておくべきでしょう。
東証マザーズ指数も、引き続き下落トレンドが発生中!
年内は、個人投資家主体の小型株は可能な限り避けよう
同様に、東証マザーズに代表される小型株は、少なくとも年内受け渡し最終日までは個人からの節税売りが出るため、可能な限り触らない方が無難でしょう。
12月20日の東証マザーズ指数は前週末比15.38ポイント(1.60%)安の948.28ポイントと、大幅に続落。一時946.63ポイントまで下落して、年初来安値を更新しました。
12月21日には前日比16.80ポイント(1.77%)高の965.08ポイントと上昇しましたが、依然として5日移動平均線(21日時点で975.54ポイント)、25日移動平均線(同1065.95ポイント)、75日移動平均線(同1107.93ポイント)、200日移動平均線(同1139.23ポイント)のすべてを下回っています。したがって、短期・中期・長期の下落トレンドが発生中と認識しています。
東証マザーズ指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示
12月20日時点におけるマザーズ銘柄の信用評価損益率(松井証券店内)での買い評価損益率は、マイナス30.994%です。ここ最近このレベルで推移しています。この数字を見る限り、信用取引をしている多くの個人投資家が、相場とではなく「維持率」との戦いを余儀なくされているはずです。具体的には、買い建玉の反対売買や代用有価証券の売却現金化に加え、追証の入金などで、今の下げ相場を必死に耐えている様子が窺えます。
しかしながら、このように信用取引をしている多くの個人投資家が「ぶん投げ」ずに堪えてしまうと、需給は一向に改善しません。このため、東証マザーズに代表される個人投資家の関与率が高い市場・銘柄の調整局面は、残念ながら長引く見通しです。とりわけ、世界的な金利先高観が強まる状況下では、高PERの小型グロース株の調整は始まったばかりと見ています。
逆に、「低PERの大型バリュー株」や金利上昇がメリットになる「キャッシュリッチ企業」は、物色されそうです。また、商品市況の値上がりを受け、「資源関連」も投資妙味が大きいです。さらに、「オミクロン型」の感染拡大が収まれば、旅行・観光などの「アフターコロナ関連」も見直し買いが入ると見ています。しかし、その場合でも、株価指標(PER・PBR・配当利回りなど)で割高ではない銘柄を選ぶべきだと考えます。
2021年の師走相場は“調整相場”なので、
「5拍子そろった大型株」だけを投資対象に
正直、「新しい資本主義」を掲げる岸田政権が発足し、FRBがタカ派に転換したことで、株式投資で儲けることの難易度がめちゃくちゃ上がったと感じています。なぜならば、岸田政権下では、今後、積極的な財政出動が期待できず、むしろ将来的な増税の足音が聞こえてきそうだからです。
また、FRBが「インフレファイター」と化し、テーパリング(量的緩和の縮小)を終了させた直後に金利引き上げとQT(Quantitative Tightening:量的引き締め)を開始することで、過熱気味となっている一部の商品価格の上昇を抑える効果が期待できる反面、リスクマネーが減少してしまう懸念があるからです。
最後に、今年の師走相場は調整相場です。このような相場局面では、大型株のうち「低PER・高配当利回り・好業績・高ROE」の4拍子に加え、「テクニカルが良好」という5拍子そろった銘柄だけを投資対象にするべきです。
また、無理して投資するタイミングとも思えません。それでも投資するならば、資金管理を厳格化して、慎重な運用を心掛けましょう。
【※関連記事はこちら!】
⇒株初心者はいくらから株式投資を始めればいいのか? 1株単位で株が買えて「1株=数百円」から始められる5つのサービス(LINE証券・PayPay証券・S株など)を解説
【※今週のピックアップ記事はこちら!】
⇒【日本株】2022年の「おすすめ銘柄」10銘柄を公開!「第2四半期の進捗率が高い株」第1位のカプコン、「アナリストが強気の株」第1位のオリエンタルランドに注目
⇒【米国株】2022年に米国株に投資するなら「高利回り・低PERのバリュー株」がおすすめ! 一方で、大人気のインデックスファンドは、儲からなくなる可能性も!



