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新型コロナウイルス以降の市場を振り返ると、
金融緩和で株価が上昇し、インデックス投資が大ブームに!
2020年2月に新型コロナウイルスの怖さにウォール街が初めて気がつき、米国株が高値から-35%も調整したとき、連邦準備制度理事会(FRB)は大急ぎで政策金利を0%に引き下げるとともに債券買入れプログラムを再開しました。さらに、心臓発作を起こしてしまった産業界を蘇生させるため、中小企業雇用維持プログラムなども発表しました。
株式投資家の目線で言えば、このように中央銀行がなりふり構わず金融緩和へと邁進している場面では、何を買っても儲かる相場が起こりやすいです。実際、2020年の相場はどんなに下手な投資家でもウハウハ儲かる相場でした。
NYダウチャート/週足・3年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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そして、2021年に入ると経済再開がはじまり、雇用市場が急角度で改善しました。
さらに、経済再開に合わせて、それまで実施されていた臨時措置は順次終了されていきました。3兆ドルを超える財政散布が終了し、債券買入れプログラムの手仕舞いが議論されはじめました。つまり、2021年は思いのほか速いペースで経済が立ち直ったのです。
そのため、投資家もじゃぶじゃぶの金融緩和がいつまでも続かないことを悟り、投資戦略の修正を迫られました。
結果として、2021年は物色の矛先がめまぐるしく変わり、ストックピッキング(個別株投資)は困難を極めました。それとは対象的に、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカーシンボル:VTI)に代表されるような市場をまるごと買う戦略、いわゆる「インデックス投資」が一番効率よく儲けることができました。
そんなわけで、今はインデックス投資信仰が極めて強くなっています。俗にいう「レバナス・ブーム」、すなわちナスダック指数を2~3倍のレバレッジで買うような投資信託(ETF)が飛ぶように売れる現象も見られています。
大体、こんなふうに大衆がひとつの人気商品に熱狂する局面になると、その手法が天井をつけるリスクが高いです。つまり、2022年は株価指数を買い、それを抱えているだけでは儲からない相場になるでしょう。
その一方で、S&P500指数に代表されるような株価指数の採用銘柄のなかで、指数に占める比重が小さい銘柄には極端に割安で取引されている銘柄が目立ち始めています。言い直せば、今は株価指数よりも個別株に妙味があるということです。
2022年の株式市場はスピード調整の年となる見通し!
高利回り・低PERの個別株を中心にバリュー投資に徹しよう
普通、米国の景気拡大局面は8〜10年くらい続きます。今回の景気拡大局面は2020年4月から始まっていますので、まだ2年目です。つまり、今は長期的な景気拡大局面の初期に位置していると考えられます。
しかし、株式市場は新型コロナウイルスからの経済立ち直りをいち早く織り込み、先駆けて上昇してしまっているので、高値に買い進まれた株価に実体経済が追いつく必要があります。つまり、2022年はスピード調整の年になるということです。
このスピード調整さえ完了すれば、株式は再び買っていける状況になると思います。ただし、このスピード調整には、まるまる1年を要するかもしれません。
目先の“かく乱要因”は、改善著しい雇用市場だと思います。雇用主が「なかなか求人への応募者が来ない」と焦った場合、賃金をアグレッシブに引き上げるかも知れません。生産性の向上がないままに賃金だけが上昇すれば、それはいずれ「賃金価格スパイラル」と呼ばれる悪循環をもたらし、しつこいインフレになるリスクがあります。今のところそうなるリスクは低いですが注意は必要です。
現在までのインフレの少なからぬ部分は、石油をはじめとするエネルギー価格の上昇によってもたらされました。今後、エネルギー価格の上昇の変化率は鈍化することが期待されます。
ただし、上場シェール企業はほとんど増産していませんし、サウジアラビアも増産していません。そのことから考えて、原油価格の上昇が続くシナリオも覚悟しておく必要があります。
一方、米国の10年債利回りは1.4%前後で推移しています。これは、中長期での米国経済の成長が弱々しいものになるリスクがあることを示唆しています。
米国10年債利回りチャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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今、中国経済は、中国恒大集団をはじめとした不動産開発業者の資金繰りが困難な問題でスランプに陥っています。中国経済の減速は、素材や資本への需要が旺盛でなくなることを意味します。さらに、中国経済と密接に連携している日本経済も道連れにされるリスクがあります。そのような事情から日本やドイツの長期金利の水準は低く、それが米国債の利回り水準を魅力的に魅せている側面は否定できません。
つまり、足下の高インフレにもかかわらず、米国の長期金利は低い水準のままで推移する可能性が高いのです。これは、インフレ退治のためにFRBがあまりアグレッシブに政策金利を引き上げられないことを意味します。
2022年の株式投資に際しては、このようなもろもろのポイントを考慮し、高利回りで低PER(株価収益率)の個別株を中心に、バリュー投資に徹するのが良いでしょう。
【今週のまとめ】
2021年は「インデックス投資」が正解だったが、
2022年は「個別株へのバリュー投資」が狙い目に!
2020年は何を買っても儲かる簡単な相場でした。2021年は「株式市場をまるごと買う!」というような株価指数への投資が正解でした。2022年は、2021年とは正反対で、個別株へのバリュー投資に妙味があると思います。
※編集部注:来週、2021年12月27日の「世界投資へのパスポート」は休載となります。
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