「校則」は誰のためにあるのか――対立するのはいけないこと?生徒会のメンバーは「なぜ、この校則ができたのか」を校長先生に尋ねてみた イラスト:ソノダナオミ

校則の変更には、生徒同士の横の関係の話し合いに加え、校則を制定する権限を持つ側である学校と交渉する、いわば縦の関係の話し合いが必要だ。権限に差のある者の間での議論に起こりがちなことは何か。ルールは誰のために、なぜ作られるのかを確認しながら話し合いのプロセスを考えてみよう。

生徒の尊厳を守るのが校則の目的

 前回の締めくくりで、「法は常に私たちの身の回りにあって、人々のさまざまな権利・利益を調整しながら、私たち一人一人を尊重し、『個人の尊厳』を守っています」というお話をしました。

 校則もルールである以上、基本的には生徒の尊厳を守る目的で作られなければなりません。したがって、校則によって生徒の権利が過度に制約されている場合は、生徒は当事者として是正を求めることができます。

 前回取り上げたケースで、髪色・髪形の細かすぎる校則の変更を巡って話し合いが始まったA中学校の生徒会では、当初、「変えたい」派と「変えるべきでない」派の主張が真っ向からぶつかっていました。しかしどうやら、「校則を変えたい」という方向で意見がまとまったようです。

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