校則はどうしてできたか校長先生に聞く

 これまでは、生徒会の役員という生徒同士の横の関係だけで議論が行われていましたが、今回ここにE先生、校長先生という校則改定の「権限」を持つ存在が登場し、議論に縦の関係が加わります。

■ケース2■ 校則を変えたい!(後編)

生徒会担当のE先生は、「校則を変えたい、変えるべきでない」で分裂せず、生徒会内で意見をまとめるよう指示しました。ただし、「仮に全校生徒を巻き込んでみんなの賛同を得たとしても、職員会議で議論する必要があるし、最終的に決めるのは校長先生だから」と念を押します。

すると、CさんがE先生に、「そもそも、『前髪が眉にかかってはいけない』『ポニーテール禁止』『パーマ禁止』『黒以外の髪色禁止』などの校則は、なぜできたか」を尋ねました。しかし、E先生は即答できません。そこで、生徒会のメンバーは、みんなで校長先生に話を聞いてみることにしました。

メンバーと対面した校長先生は、校則は、「A中学校を象徴する制服の品格に合った、A中生らしい頭髪」という趣旨で作られたと、学校の歴史を振り返りながら説明します。

そして、このことが昔から「A中学校の生徒は、優秀で生活態度もきちんとしている」という学校の良い評価につながっており、生徒はこの校則を誇りにしてほしいと話してくれました。

校則の根拠や校長先生の思いは理解できたものの、生徒会のメンバーはどうも納得できません。そこで、改めて生徒会内で話し合い、現行の校則に対する生徒会としての意見をまとめ、全校生徒を対象にアンケートを取ることに決めました。

これを受けて、E先生はメンバーに対し、「生徒会のみんなの気持ちは分かるけど、学校を批判するような運動にしてしまうと、誰も協力してくれなくなるからね。学校と対立しても良いことはないよ」と助言しました。

 今日、行き過ぎた校則が問題となっている例は多く見られますが、それぞれ論点や内容が異なります。したがって、今回のケースは、あくまで学校で起こり得る問題を法の考え方に基づいて検討する材料の一例として捉えていただけると幸いです。