「縮小=出口」ではないが…

 バーナンキ議長が緩和策縮小について丁寧に説明したのも一理ある。「“QE3”の縮小すなわち出口(引き締め)」との誤解があまりに多かったからだ。実際には、資産購入の縮小によってゼロ金利が解除されるわけでもなく、FRBの資産が縮小するわけでもない。

 とはいえ、「丁寧に説明する」という判断は、市場の混乱を招きかねないという意味で“ギャンブル”でもある。バーナンキ議長はあの手この手で「金融緩和解除に向けた道筋は長く、緩やかである」ことを訴えたが、それでも市場参加者の目は遠い先にあるはずの出口に向かってしまっている。

 特に注意したいのは、米国の住宅市場の回復を支えてきたのがヘッジファンドやプライベートエクイティファンドなどの機関投資家であることだ。彼らが市場の乱高下を嫌気してここから資金を引き揚げれば、「米住宅市場の回復に冷や水を浴びせることになりかねない」(小野亮・みずほ総合研究所シニアエコノミスト)。

 「議長、5月22日の発言以降に見られたボラティリティ(変動率)は、FRBのフォワードガイダンスが正しいメッセージを発していないことを示している。出口戦略は思った以上にチャレンジングだと感じるようになっているのでは?」

 記者会見では、市場との対話の混乱を指摘する声も上がっていた。大規模な金融緩和策に踏み出したばかりの日本銀行にとってもこれは他人事でなく、縮小に向けたバーナンキ議長の立ち振る舞いを注視している。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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