新年度を目前に、ある“認可外幼稚園”の破綻騒動が起きている。
3月26日、神奈川県川崎市にある「A.L.C.貝塚学院」から、保護者宛に運営主である有限会社アメリカンラングエイジセンターが、事業継続を断念し、近日中に自己破産を申請するという連絡が入った。
同施設は、3~5歳児を預かる幼稚園型の施設だが、学校法人ではなく、文部科学省の管轄外の施設だ。「認可外幼稚園」「幼児園」などと呼ばれるが、幼稚園とは異なり、管轄官庁はなく、幼児教室、私塾的な位置づけである。独自の教育で英語などに注力しており、全体で約300人の園児を持ち、うち50人は横浜市からの流入で、この4月からも100人が入園予定だった。川崎市の幼稚園関係者も、「変わったことをやっている園ということで、大きな幼稚園バスで、川崎だけでなく横浜からも園児を集めていた」と話す。
幼稚園の場合、新入園を控えて突然閉園するというケースは起こり得ない。保育ジャーナリストの猪熊弘子氏は、「一般的な幼稚園の場合、3年計画で募集を停止し、閉園する。今回のケースは認可外だったからこそ起きたこと」と話す。
2008年に同じ川崎市で「ハッピースマイル」という保育所が閉鎖した際は、保育所の管轄である自治体が動いて、運営継承の事業者選定を進め、子どもたちの預け先を早期に見つけた経緯がある。今回は、自治体も管轄外であり、実態がつかめていなかったとみられる。