「私、パパさん」「私、最後の人」
トキはヘブンの事情を知っていて、ヘブンはトキの事情を知らない。そのすれ違いにハラハラする。
「病ではありません」
「病 ない どういうこと?」
トキはヘブンの事情を知っていて、ヘブンはトキの事情を知らない。そのすれ違い。
ここでようやく、ヘブンは自分の子どもをトキが身ごもったことを知る。
そしたら、それまでの重い空気は吹っ飛んで、ヘブンは喜びを爆発させる。
トキを背負ったまま走り、くるくる回るヘブン。
危ない。こわさすら感じる興奮具合。
いや〜、はらはらしたー。こんなにハラハラする妊娠の告白場面はなかなかない。
赤ちゃんができたと知るまでに、こんなにもったいぶるドラマもなかなかない。
「私パパさん」と感無量のヘブン。
すっかり、フィリピン行きは吹っ飛んでしまったようだ。
「I want to be with you」
トキは唯一褒められた英語でヘブンに語りかける。
「あなたと一緒にいたい」
その気持ちをトキが実感できるから、英語もうまく話せるのだろう。発音の正しさはもちろんながら、真意が伝わることが大事。教科書の例文のような英語の一節を覚えるよりも、実感を伴った言葉こそ、英会話の上達の秘訣(ひけつ)なのではないかと気づかされた第109回。
トキのモデルの小泉セツは『思い出の記』という本を出したが、トキは『英会話が上達する方法』という本を書けばいいと筆者はおすすめしたい。
妊娠を知ったのは自分が最後だったと知りちょっと拍子抜けするヘブン。「私、最後のヒト」と言う。
「通りすがり」と自認していたヘブンの放浪の旅はもう終わり。定住するときが来たのだろう。
ここでラン役の蓮佛美沙子さんのコメントを紹介しよう。
――現場の雰囲気はいかがですか?
BK(大阪放送局)の朝ドラは久しぶりですが、BK特有のホーム感のある空気は変わっていませんでした。また今回、出演者やスタッフの皆さんがリラックスして過ごされている様子が特に印象的で、私もとても居心地よく過ごせました。
(高石)あかりちゃんは、本当に自然体で、かわいい!! 常に気負わずそこにいる感じがとてもすてきでした。トミーさんとジョーさんとは実は同い年で、いろいろとお話できました。ある時にトミーさんがジョーさんに「日本では下手な役者のことを大根役者って言うんだよ」と教えていて、私もそれに混ざって「英語ではhamって言うんだよ」と教えてもらいました。お二人ともチャーミングでとてもすてきな方でした。
――撮影で印象的だったシーンを教えてください。
第109回(3月5日放送)の、「旦那の生きたい道を、選んでほしいと思います」とヘブンさんに伝えるシーンが印象的です。心の中では「アメリカに帰ってほしくない」と思っていますが、相手を思って、また明治の女性として“そうあるべき”と信じて、真逆のことを伝える。そこから本心をどれだけのぞかせるか、もしくは隠すのか、そのさじ加減が本当に難しかったです。
トキとは違い、ランは自分と同じ外国人と結婚した日本人妻の行く末をたくさん見てきました。「みんな最後は旦那が一人で母国に帰る」「だから籍も入れてない、帰るなら別れる」と言えるランだけど、ずっと心は「いやだ」と叫んでいて、いつ自分の夫が帰国するか心の底ではおびえていたのだろうと思います。









