ふるさと納税、意外な事実とは?
アンケート結果からわかったのは
「実は特産品の中身よりも共感が重要」だった

【第118回】2014年4月11日公開(2017年12月12日更新)
保田 隆明

町のファンと特産品目当ての二つのグループが存在

 実際これは、東川町の株主に対してのアンケートにおいて、株主になった目的を聞いてみた結果と整合的である。表は、株主に対して行った、株主になった最大の理由を一つだけ選択してもらう質問と、最大の理由を含めて複数回答ですべての理由を挙げてもらう質問の二つの結果である。

 これを見ると、株主になった最大の理由では、2割の人たちは東川町のファン、他の2割は支援事業に惹かれており(広義の意味では東川町のファンと言えよう)、何らかの理由で東川町に対しての思い入れのある人たちであることが分かる。町が実施している他の施策が遠因になっている可能性がある(東川町が行っている様々な取り組みは連載第101回を参照)。

 また、最大の理由の4割弱、複数回答可からは約6割の株主が東川町土産や株主優待制度に惹かれて株主になっていることが分かる。これはモノに惹かれている人たちである。

 以上からは株主には町のファンや共感する人たちとモノ目当ての人たちの、大きくふたつの層が混在することが分かる。

 自治体側にしてみると、特産品の豪華さを競うだけでは一方の群の人たちしか開拓できないわけである。これは自治体にとっては意外な盲点ではないだろうか?

 もう一つ北海道東川町のアンケートで興味深かったのは、本州在住者の8割以上の人たちが東川町を訪問したいと考えていることであった。前回のコラムに書いたように、東川町は観光の目玉はない人口8000人足らずの町である。そこを訪問したいと考えてくれるなら、ふるさと納税は単なる資金調達手段ではなく、交流人口を増やす一つのきっかけにもなりうる。

 もう少し正確に言えば、町が行う様々な取り組みがクチコミやメディアを通じて広がっていき、にわかに町のファンとなった人がふるさと納税に参加する。そうして町との絆を深めた人が最終的に町を訪問し、さらに絆を深めるという、いい意味でのスパイラルがそこには発生していくであろう。

 むしろ自治体側が特産品の豪華さだけに気を取られてしまうと、ふるさと納税のリピーターの育成にはつながりにくい可能性がある。特産品に釣られる納税者はもっと豪華な特産品を見つけるとそちらに浮気することが考えられる。

 自治体にとってはリピーターを育成し、安定的な財源とすること、そして願わくばそれらの人たちが町を訪問してくれることが好ましいわけであり、その意味ではあまりに特産品を豪華にしてしまうことは諸刃の剣にもなりかねない。

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