リーダーが多様な考え方を受け入れ、
言いたいを言える風土をつくれば、組織は活性化する
松江 御社の風土作りについて伺いたいのですが、組織を変えていく中で、フィードバックのメカニズムをどうやって組織でつくるかは非常に大事なポイントだと思っています。
田中 経験で思うことですが、それについてはアメリカ人のほうがはるかにうまいです。日本人はなかなかやらない。私の会社はアメリカの影響を受けてやろうと努力しています。アメリカの場合、簡単な例で言えば、good jobと言ってもらえていないと、そう思ってもらってないんじゃないかと考えてしまいがちなので、それをなるべく言ってあげます。日本人は見習うべきだと思います。
松江 日本人は恥ずかしさや照れくささがあって褒めるのが下手です。逆に、褒めると甘くしたんじゃないかと、いろいろ心配してしまうところがありますよね。
田中 日本には「以心伝心」という言葉があるじゃないですか。これ、アメリカにはないんですけど、中国にもありません。もともと中国から来た禅の言葉ですけど、「意味はわかるけど、聞いたことがない」というのが私の知る中国人の感想です。たぶん、そういう感覚があるのは、世界でも日本独特のことらしいです。要するに、グローバルでははっきり伝わるように言わないと駄目ということです。good jobと言わないとgood jobと思われていないんだろうと思っちゃうので。
松江 先ほどのコアバリューコンタクトなど、御社は個人を表現する機会が多い印象があります。上からだけではなくて、それぞれが表現し吸い上げていく、それが活性化させている気がします。
田中 まさにそういうつもりでやっています。特に、私はよく「言いたいことを言いなさいよ」と言っています。例えば、私が言ったことを全部やることはない、反対意見があったら、どんどん言ってと。私に限らず、かなりの人間はそういう態度をとっていますね。
松江 そこでリーダーはこういう態度を取ったほうが良いとか、何かリーダー像のようなものがあるのでしょうか。
田中 決して教えられたわけじゃないんです。ただ、自分がやってきた中で、そちらの方が結果を伴うという意識はあります。自分一人で考えているよりも、みんなの考えを吸い上げたほうが、いろんないいアイデアが出てくるだろうという実感があります。
私が会社に入って10年目ぐらいの頃、アジアの仕事をしていたときに、考え方が違う人間がいる中で、聞かないとわからない、と思ったことがきっかけですね。自分で考えたら、せいぜいこれまでだけど、中国人の考え方を入れたら、この考えが膨らむぞといった実感があって、いろんな人間から話は聞いたほうがいいと思うようになりました。
私以外にも、グローバルのリーダーはそういうタイプが結構いますね。特に、グローバルでもアメリカ以外も経験したような人は、同じような感覚になるんです、こんないろんな人間がいるんだって。だから、自分だけで考えていたらもったいないという考えがベースになりますね。




