「ブランド施策」と「売上施策」
ここまで、次の2つがバランスよく組み合わされた戦略が必要だと示した。
1つ目は「ブランド施策(=認知・ファン育成)」、2つ目は「売上施策(=販売促進)」である。仮に「ブランド施策」のゴールをブランド認知度・好意度向上、「売上施策」のゴールをより多くのユーザーが店頭に訪れること、にしよう。
上記をKGIとする時の達成プロセスを考えてみよう。前記事で、「見られる広告」をベースにした広告プランのつくり方の6要素を書いた。
0.ビジネスゴール(KGI)の達成プロセス
1.課題整理
2.ターゲット
3.ブランド体験シナリオ(メディア、クリエイティブ、コンテンツ)
※「売上施策」では、具体的なキャンペーン内容とする。
4.ユーザーの状態可視化と広告最適化要件
5.KGI達成のためのKFS、KPI抽出
上記0~3を以下に書き出してみよう。(0は以下プロジェクト・アウトラインを指す)
※0~3の4~5との関わりや具体的な内容は、引き続き今後の連載の中で紹介していく。
・現在のブランド認知度・好意度を確かめる
・ギャップのあるユーザー層と、そのボトルネックを確認する(課題整理・抽出)
・抽出した課題を解決するために妥当性のある手法、チーム、予算を決定する
※妥当性が分からない場合、フィジビリを実行する。
・ユーザーのペルソナ、発見・リーチ手法を確認する(ターゲット)
・ユーザーのブランド体験の設計をする(シナリオ設計)
-どんなことに気づき・認知するか
-どんな体験をすると、興味・関心を持ちブランドと関わるようになるか
メディア、クリエイティブ、コンテンツなど
-どんなオファー(キャンペーン)があると店頭に行きたくなるか
上記のアウトラインに具体的な要素をプロットすると戦術ができる。これを可視化したり定量的に検証できる状態にすると、妥当性のある改善案や最適化要件が導き出せる。
さて、話を冒頭に戻すと、「売上施策」は「ブランド施策」と対であり、「ブランド施策」でファンが育成されていない状態で「売上施策」を実行しても来店を増やすことは難しい。
もし、強引に来店を促進しようとするなら、訴求のポイントは「スペック(要件)と価格」のみである。この時、ユーザーはブランドに興味が全く無いかもしれない。このような状態では、自らブランドを傷つけてしまうようなものである。
すべてのブランドは、目先の売上を狙った「売上施策」だけにとらわれず、ファンをじっくり育成する「ブランド施策」が必要だ。
ブランドは、ユーザーの関心領域において圧倒的な価値的優位性があるものを言い、価格によってユーザーの心が左右されるものではない。例えば、あなたがIWCの時計が欲しいと思っているのに、価格が安いからと言って別のブランドにしようと思わないのと同じだろう。
もし、ブランドがファンを相手に「売上施策」を実行すれば、スペックや価格とは別の視点でブランドと関わりたいと思うはずだ。もし、あなたの好きなブランドから心をくすぐるプレゼントやイベントへの招待が届いたらどう思うだろう? その逆は、言わずもがな、である。



