がんゲノムプロファイリング検査を
全ての患者が受けられない背景とは

――全ての患者が、がんゲノムプロファイリング検査を受けることは不可能なのでしょうか。

 検査費用が約50万円もする割に、治療薬が見つかる確率は高いとはいえません。日本にいる全ての患者を対象にがんゲノムプロファイリング検査をすると、ものすごい金額になります。医療費の問題として議論になる可能性があります。

――病院の経営にはどのような影響があるのでしょうか。

 がんゲノムプロファイリング検査を実施した時点では、病院には8000点(8万円)しか算定できません。その検査結果を患者に説明すると、残りの4万8000点(48万円)が算定できます。ところが、病院はがんゲノムプロファイリング検査を、検査会社に発注する段階でその合計額である5万6000点(56万円)を支払う必要があります。検査の発注から、患者にその結果を説明するまでには1ヵ月くらいかかるため、その間は病院が費用を持ち出していることになります。そのため、がんゲノムプロファイリング検査の提供に慎重になる病院も出てくるのです。

――処方できる治療薬を広げる取り組みというのはあるのでしょうか。

 個々のがんにどのような治療薬が使えるかという情報が、国境を越えてスピーディーに入手できるようになりました。医療関係者はもちろん、患者もさまざまな最新情報に接する機会があります。そうすると、患者にとってはその治療薬を使ってみたいという思いが出てきます。

 そんな患者の希望に応えるために「患者申出療養制度」という制度があります。患者が希望する治療薬が保険適用外だったとしても、医療機関・行政が患者のリクエストに応えられるようにする制度です。ただし、研究計画を立て申請準備をしていると、時間がかかる点が問題です。また、治療薬の費用は自己負担になりますから、制度はあっても実行可能性という面で、まだまだ改善の余地があると思います。