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岩垂邦彦
日本で最初の外資系企業をつくった技術者企業家

COVER STORY

 1880年代後半はアメリカにおける電力事業の黎明期に当たるが、この時、「電流戦争」と呼ばれる、2人の天才科学者の確執があった。すなわち、発明王ことトーマス・エジソンは直流システムを主張し、ニコラ・テスラは交流システムこそ優れていると訴え、互いに譲らなかったのだ。最終的には、ナイアガラの滝の発電事業でテスラの交流発電機が採用され、以降交流が主流となる。この電流戦争は日本にも及んだ。それは、エジソンの発明に感銘を受け東京電燈(東京電力の前身の一つ)設立を働きかけた藤岡市助(工部大学校教授)は、みずから技師長になって直流システムを採用し、一方、のちに大阪電燈(関西電力の前身の一つ)の技師長となる岩垂邦彦は交流を選択した。実を言うと、テスラも岩垂もエジソンの下で働いていたのだが──。この岩垂邦彦という男、日本で最初の外資系企業、日本電気(NEC)の創業者であり、いまあらためて評価すべき「技術者企業家」の先駆者といえる。

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