アメリカの作家ティム・オブライエンの『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』(村上春樹訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)は、ミソメイニアという奇妙な感染症が蔓延するアメリカが舞台だ。ミソメイニア(mythomania)はmyth(神話)とmania(熱狂)を組み合わせた精神医学の用語で虚言症のことをいう。小説では、ミソメイニアに侵されると誰もが嘘をつくようになるばかりか、自分の嘘がどれほど荒唐無稽かを競い合う

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