かつて「保守本流の女帝」といわれたフィクサーがいた。吉田政権下の与党・自由党の重鎮7人による幹部会に秘書として唯一、出席を許され、池田勇人、佐藤栄作といった歴代首相と対等に渡り合った。その名は辻トシ子。自民党の名門派閥、旧宏池会の陰の権力者となり、政界を動かした。彼女と交流があった数少ない現役の政治家の一人が、岸田文雄元首相だ。『昭和の女帝 小説・フィクサーたちの群像』のモデルである女性フィクサーの謎に迫る本稿では、辻トシ子が果たした役割や、その権力の源泉について岸田元首相に語ってもらった。

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