自民党総裁選への出馬が取り沙汰される高市早苗経済安全保障担当相が語る「派閥とカネと自民党総裁選」。前編に続き、今回は高市氏がかつて所属していた派閥の仰天エピソードを多数披露。パーティー券のノルマを一度も達成できなかった高市氏が「パー券自爆営業」の実態を明かした。さらに“ある事情”で派閥を去った高市氏を安倍元総理はひどく叱ったという。お叱りの背景には派閥に内在する「鉄の掟」が関係していた。(構成/梶原麻衣子)
派閥を退会した高市氏を
安倍元首相がキツく叱ったワケ
――今回の政治資金問題は、派閥主催のパーティー券の売り上げの一部が議員に還流されたにもかかわらず、政治資金報告書に記載されていない、というものです。
派閥のパーティーで集めたお金が、派閥の運営費になることは理解していました。しかし、余剰売上分が所属議員に還付される仕組みは、昨年からの報道で初めて知りました。
私も平成23年までは清和研に所属していたのですが、派閥のパーティーと私のパーティーの時期が重なっていたので、自分のパーティー分を買ってもらうことも必要だったんです。
当時の私には、多くのパーティー券を売る力や余裕がなかったんですね。派閥ではノルマがありますから、私のパーティー券を5枚買ってくれるという人に、「3枚分は派閥へのご協力をお願いします」といって振り分けたりもしたけれど、それでもノルマを達成できませんでした。恥ずかしながらノルマを上回ったことはなく、むしろ未達成分を自腹で買って派閥に入金していました。
特に若手議員にとって、ノルマを達成するのは本当に大変です。まとまった枚数を買ってくださる企業や団体はおおよそ決まっているので、いわば早い者勝ち。悔しかったのは、若手にパーティー券が配布されるのは、派閥の幹部が主な企業や団体に売り切った後だということでした。そうすると普段から親しくしている団体にお願いに行っても、「もう枠いっぱい買った後なので」と断られてしまう。
――なぜ派閥を退会されたのですか。
退会したのは、私の中の一貫性の問題です。