女性初の総理大臣より先に、日本には「女帝」がいた――。32歳で大物政治家の秘書になり、吉田政権下の与党・自由党の重鎮7人による幹部会に秘書として唯一、出席を許され、池田勇人、佐藤栄作といった歴代首相と対等に渡り合った。その名は辻トシ子。特集『小説「昭和の女帝」のリアル版 辻トシ子の真実』の#2のドキュメンタリー動画の前編には、元首相の岸田文雄や宮澤喜一、元財相の藤井裕久、元衆院議長の綿貫民輔、小沢一郎らが登場。側近たちの証言から、辻トシ子の権力の秘密を明らかにする。(ダイヤモンド編集部)

「政界最大の黒幕」の娘として、永田町に君臨

 50年以上にわたり永田町に君臨した辻トシ子を、政治家たちは「私たちの女王陛下」(宮澤喜一)、「平成の怪物」(村山富市)、「辻師団長」(小沢一郎)といった表現で称える。彼女に話し掛ける際は、岸田文雄、野田佳彦といった首相経験者であっても「辻先生」と呼ぶ。なぜ、一介の民間人に、政界の大物たちがそこまで気を遣うのか。

 岸田はダイヤモンド編集部の取材に応じ、辻トシ子について、「宏池会が政権を取りにいく際、他の派閥とやりとりする中で、辻さんの存在、人脈、活躍は大きな意味があった」と語った。彼女はそれほどの権力をどうやって手に入れたのか。

 本編集部は、2020年に102歳で死去した彼女の手帳や、彼女の父で「政界最大の黒幕」といわれた辻嘉六の遺書を入手。そうした本邦初公開の資料や米国の公文書などを基に、謎に包まれていた辻父娘の実像に迫っていく。(敬称略)


 

『昭和の女帝』書影

昭和の女帝
小説・フィクサーたちの群像

千本木啓文著

<内容紹介>
自民党の“裏面史”を初めて明かす!歴代政権の裏で絶大な影響力を誇った女性フィクサー。ホステスから政治家秘書に転じ、米CIAと通じて財務省や経産省を操った。日本自由党(自民党の前身)の結党資金を提供した「政界の黒幕」の娘を名乗ったが、その出自には秘密があった。政敵・庶民宰相との壮絶な権力闘争の行方は?

自民党を動かした「昭和の女帝」辻トシ子…隠された権力者の謎に、岸田元首相ら歴代総理・総裁の証言で迫る【ドキュメンタリー前編】自民党を動かした「昭和の女帝」辻トシ子…隠された権力者の謎に、岸田元首相ら歴代総理・総裁の証言で迫る【ドキュメンタリー前編】自民党を動かした「昭和の女帝」辻トシ子…隠された権力者の謎に、岸田元首相ら歴代総理・総裁の証言で迫る【ドキュメンタリー前編】自民党を動かした「昭和の女帝」辻トシ子…隠された権力者の謎に、岸田元首相ら歴代総理・総裁の証言で迫る【ドキュメンタリー前編】
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