予約型奨学金とは
日本学生支援機構(JASSO)では経済的に困窮している学生に向けて、大学進学前に予約ができる奨学金を用意しています。また、予約ができる奨学金制度を独自に設けている大学もあります。制度の内容は大学によって異なっていますので、首都圏私立大学で予約型奨学金を設けている大学を例に比較してみましょう。
首都圏私立大学の予約型奨学金の一例
青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」
青山学院大学には「地の塩、世の光奨学金」があります。一都三県を除く、経済的理由で進学が困難な学生に給付奨学金を用意しています。一般入学試験、または大学入学共通テスト利用入学試験で青山学院大学を受験する人が対象です。
給付額は年額50万円。原則4年間の継続支給ですが、毎年進級時に学業成績と家計状況の審査があります。採用候補者数は約350名。申請期間は第1回が11月5日〜11月26日、第2回が1月6日〜1月20日です。
上智大学「上智大学新入生奨学金」
上智大学には「上智大学新入生奨学金」があります。上智大学を第一志望としながらも経済的理由で入学が困難な学生を対象に、入学初年度の授業料を減免する奨学金です。減免額は初年度の授業料相当額か授業料半額相当額、授業料3分の1相当額のいずれかで、学業成績と家計の経済状況の総合評価で決定します。
2021年度の採用実績は77名ですが、上智大学には他にも併願できる奨学金がいくつかあるので、そちらを利用するのもよいでしょう。
法政大学「チャレンジ法政奨学金」
法政大学には「チャレンジ法政奨学金」があります。法政大学に入学希望の学業成績が優秀(評定平均値3.8以上必要)な、一都三県以外の学生に支援が行われる奨学金です。
給付金額は入学時に文系学部が38万円、2年次以降は年額20万円、理工系学部が入学時に43万円、2年次以降は年額25万円。入学後に毎年行われる継続審査を通れば4年間受給可能です。
採用候補者数は200名。申請期間は11月1日から11月30日です。
予約型奨学金を選ぶ際のポイント
大学独自の進学前に予約できる奨学金は、ご紹介した通り大学ごとに制度が違ってきます。選ぶポイントとしては、対象者、給付金額、採用候補者数に注目してみましょう。
まず、首都圏私立大学の予約型奨学金では、対象条件に評定平均値を挙げている大学が多くあります。しかし、青山学院大学の「地の塩、世の光奨学金」のように、成績基準を設けていない大学もあります。評定平均に自信がない方は、こういった大学を視野に入れるのもよいでしょう。
次に、給付金額です。給付金額も大学ごとに異なり、また大学によっては学部で給付金額が異なるところもあります。理工系学部や医学部を目指している方は、他の学部よりも給付額や期間が多く設定されている大学があるので、選択の基準にしてみてもよいでしょう。
最後は採用候補者数です。こちらは大学の規模にもよりますが、採用候補者数が100名を切る大学もあれば、1,000名以上の大学もあります。給付条件には先述の評定平均値や保護者の収入要件等が関わってくるため、入学者数に対して採用候補者数がなるべく多い大学を選択したほうが、採用される可能性は上がります。
これらのように、大学ごとの制度をしっかりと確認して、なるべく奨学金を受給できるように大学を選択していきましょう。
首都圏私立大学の予約型奨学金のまとめ
大学進学にあたり、金銭面の問題で悩んでいる方も、ここまで見ていただいたように、現在は大学ごとにさまざまな予約型奨学金が設定されています。首都圏私立大学の場合は、基本的に一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)以外に住んでいる方が対象になっていることや、保護者の収入要件によっては対象にならないこともあり、そういった点は前もって把握しておかなければなりません。
また、給付期間は原則4年間としている大学が多いですが、1年ごとに継続審査が行われるところがほとんどなので、先述の対象条件から外れてしまうと、途中から給付がストップしてしまうこともあります。
申請期間は1か月ほどと短く、大学によって期間も異なるので、こちらも出し忘れがないように早めに大学の公式サイトをしっかりと確認して、対象になりそうな方は積極的に利用していくとよいでしょう。
なお、「【2024年最新・完全版】首都圏私立大学の「入学前予約型奨学金」10選」では、早稲田大学や慶應義塾大学など、10大学の奨学金について紹介しています。ぜひこちらも合わせて確認してみてくださいね。
参照
JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)|進学前に申し込む(予約採用)、青山学院大学|受験生向け奨学金制度(地の塩、世の光奨学金)、上智大学|学部入学前に出願する奨学金、法政大学|法政大学独自の奨学金