浅野中学校中学校の入試問題の特徴・傾向と対策方法を科目ごとに徹底解明！【中学入試分析2024年】

浅野中学校について

　神奈川県の男子御三家の一つで、東大合格者数は45名を数える進学校です。実業家の浅野總一郎によって1920年に創立され、「九転十起」「愛と和」を校訓に掲げ、学業・部活動・年間行事の三本柱を軸とした教育を目指しています。

　2025年からは定員数を240名に減らし、学習指導では生徒に寄り添う柔軟なカリキュラムを用意し、高校2年までに一通り終わらせて志望校に向けた受験対策を徹底。国際的な視野を育てるグローバル教育にも力を入れるほか、教科の枠を超えたテーマで教員と生徒がともに考えて学ぶ「教養講座」を開設。さらにOBによる進路講演会を開催し、文系理系の選択や将来を考える契機になるよう生徒ファーストの環境を整備しています。

　学舎は自然林が多い県の愛護林鳥獣保護区に指定された高台にあり、広大な敷地内には野球、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどの公式戦が行われるグラウンドのほか、テニスコート、屋内プール、体育館など各種施設も充実しています。（松井誠：TOMAS教務企画局　教務本部）

浅野中学校の入試分析

国語の入試分析

傾向：選択肢にも「読み解く力」が必要

　例年、大問1（漢字）・大問2（物語文）、大問3（説明文または随筆文）という構成。漢字は書きも読みも出題される。物語文・説明文とも本文が5000字超とかなり長い。設問は選択肢問題中心。選択肢自体も文が長く、読み込むのに労力を要する。記述問題は40字～60字程度のものが出題される。

出題：高度な文章についていけるか

　漢字の書きは「印税」「警笛」など意味を知らなければ書けないものが多い。大問1は、戦時中意に反して娘を集団疎開に送り出さなければならなくなった父の苦悩を読み取る問題。大問2は養老孟司氏の随筆文。人間は変化するものであり、その変化は偶然によるものであることを受け入れよ、という哲学的な内容。

対策：難解な文章への挑戦を続けよう

　本校・他校の過去問の中から高度な長文を扱うところを選別して、じっくり読んでみることを勧める。自分の知らない時代の出来事、身の回りで見聞きしないことが書かれていることが多いため、なじめず理解できないことであろう。分からないことは大人に聞いて、少しでも自分をアップグレードしていってほしい。また、模擬試験でも同様の文章が出されている。あとでできなかった問題の反省を必ずやっておくこと。

算数の入試分析

傾向：中学入試の見本のような問題

　例年5題構成で答えだけを書く形式。ただし、説明や理由を書かせる問題が1問出ることが多い。立体図形・平面図形・数の性質・速さ・推理・論理・場合の数からの出題が目立つ。およそ3分の2が標準レベルまでの正解しやすい問題なので、そこでの取りこぼしを無くすことが大切。努力が報われやすい問題ではある。

出題：バランスのとれた構成

　大問1が計算、小問集合。（5）の説明する問題で差がついただろう。大問2は分数列で2の倍々と関係する問題。大問3が点の移動でダイヤグラムを描くことが得策だった。大問4は水そうにおもりを入れる問題。水をせき止めるイメージで解決できた。大問5は四角すいと三角すいの共通部分の問題。誘導が丁寧だった。

対策：技術を磨き頭を使おう

　昔に比べれば難化したとはいえ、受験者層から考えると適切な難易度といえる。オーソドックスな問題なので、まずは各分野隙の無いように基本を築き上げたい。その上で、応用問題に対応できるように力を強化し、日頃から手を動かして頭を使い、思考力系の問題にも対応できるように準備すべきだ。最も痛いのはできるはずだった問題を間違えてしまうことなので、計算ミス、問題文の読み間違い等を防ぐ対策が必須といえるだろう。

社会の入試分析

傾向：知識と思考・記述のバランスを重視

　例年大問2題構成。大問1はあるテーマに基づく地理・歴史・公民3分野の融合した総合問題で、すべて記号選択式、正誤問題が多い。対して大問2は複数の資料を使った100字程度の記述問題で、思考力・記述力を見るもの。多方面から受験生の学力を測るバランスの取れた出題である。

出題：選択問題を解くスピードがポイント

　大問1はテクノロジーの発展がテーマで、3分野から幅広く出題。記号選択の中に、統計資料の読取りや計算をもとに数字を答えさせる出題もあった。大問2は、環境問題に関する4つの資料から日本の消費の課題と消費者としての意識を記述させるもの。内容を整理し、書く時間を作ることがポイント。

対策：知識と思考力の両立を目指す

　対策として、記号問題を処理するスピードと正確さ、記述問題で高得点を取るための読解力・思考力、この2つの面をバランスよく鍛えていくことに尽きる。記号問題で確実に得点できなければ合格ラインに届かず、記述問題を外してしまっても合格が遠のく。正確な知識と解答スピードを身につける反復演習、与えられた資料から出題者の意図を読み取り問題の条件や指定を外さない文章を書く演習を反復することが大切である。

理科の入試分析

傾向：基本知識と深い理解

　4分野（生物・地学・物理・化学）から、30問程度、バランスよく出題されている。実験をもとにしたデータ分析問題も多く、スピードが必要である。基本的な知識については素早くこなし、思考力を問われる問題にしっかり入り込める「切り替え」の能力も磨いておく必要がある。

出題：深い知識と判断力

　大問4題構成。大問1は生物から植物の分類・光合成と呼吸の実験。大問2は地学から地震・地震計。大問3は化学から水素の発生・マグネシウムの化合物。大問4は物理から浮力が出題された。知識の正確さ、深さを問われた。データの読み取りも多く出題されており、演習を数多くこなしておく必要があった。

対策：知識の関連付け

　一問一答タイプの問題集で覚えていくだけでは、合格ラインには届かない。似たような名前のもの（本年度でいえば「マグネシウム」）がどういう仕組みかというところまで、興味を持って勉強に取り組む必要がある。普段の勉強から知識と知識を関連付けて、知識の裾野を拡げる意識が大切である。また、題材によっては中学校範囲の内容まで含むことがあるので、理解すべき範囲を整理しながら学んでいく必要がある。

浅野中学校の進路・入試情報

浅野中学校の進路情報

　浅野中学校は、中高一貫校であるため、ここでは浅野中学校高等学校の2024年度の大学入試の結果を掲載しています。

※参照: 浅野中学校・高等学校のHP

浅野中学校の入試情報

浅野中学校の入試日程・科目

浅野中学校の受験者数・合格者数

編集協力＝福崎剛・フリーライター