グラフ表示ソフトへの慣れも必要
――いずれも必答の第1問と第2問の配点は30点ずつですね。
石田 第2問の〔1〕も特徴的な問題でした。前半は、2つの2次方程式の解の個数についての問題ですが、(1)の基本問題を解く中で、解の個数を考えるには2つの方程式の共通解に注意する必要があることに気付くことが、次の(2)を解く鍵になっています。得られた結果を「統合的・発展的に考え問題を解決する」という、共通テストの数学の方向性が表れた問題といえます。
後半では、前半の2次方程式の左辺をyと置いた2次関数のグラフをグラフ表示ソフト上で考えることが問われています。「グラフ表示ソフトでグラフの移動を考える」は、試行テスト・プレテストでも出題されていたのですが、これが2次不等式の解についての必要条件・十分条件と絡めて出題された点が目新しかったです。(3)でのグラフの移動の様子の考察がそのまま(4)の正解のヒントなのですが、このつながりを理解できなかった受験生が多かったでしょう。
しかし、2次方程式・2次不等式の解を、2次関数のグラフと結び付けて考えることは、この単元の理解において最も本質的なポイントです。この点について深く理解していた受験生は、すぐに正解が選べるようになっています。
また、図2のように、グラフ表示ソフト(ここではGeoGebraでの図を示しています)を自由に操作して問題を考える経験をしていれば、設問の意味は理解しやすかったと思われます。私はこうしたソフトを日常的に授業で用いていますが、このようなソフトの導入は、授業展開において今後必須になるように思われます。
――教育の現場でも、こうしたソフトを使った授業が求められるわけですか。データの処理に関しても出題されていますね。
石田 第2問の〔2〕ですね。これも第2回の特徴的な問題でした。ずっと以前は、統計に関する内容は選択問題だったのですが、現在では必答問題となっています。これにはデータの処理や統計を必須知識として学ばせようという流れがあります。
海外における日本語教育について、その教育機関数、教員数、学習者数といったデータについて問うものです。(1)はヒストグラムの読み取りで、従来のセンター試験でも出題されていた標準的な問題です。(2)は箱ひげ図とヒストグラムの2つを見比べてそれに見合う散布図を選ぶ問題でしたが、結局、箱ひげ図のみから正解が決まる問題でした。あえて無駄な情報も与え、その中で必要な情報を取り出させています。
(3)は相関係数を求める問題で、単純に738.3を39.3×29.9で割れば良いだけの計算問題です。しかし、29.9で割るところを概数として30を使ってしまうと、最後の桁の数字が違ってしまうという作りになっています。このような煩雑な計算をさせることに意義があるのか、ここは出題の趣旨に疑問が残ります。
(4)は求めた相関係数から正しい散布図を選ぶ問題ですが、表の中の平均値を用いることに気付かないと正解が選べません。また、相関係数0.63がどれほどの相関であるかを図から判断しなくてはならないのですが、それを問うのはやや無理があるように思われます。
――教科化される「情報」が共通テストでも出題される動きがあります。こうした問題はどちらで扱うことになるのでしょう。
石田 そのすみ分けは、現時点ではまだはっきりしていないように思います。4月以降、「情報」の新しい教科書の内容が分かってくると見えるようになると思います。