大学のプライドとこだわり

後藤 大学からのクレームもありますね。例えば、横浜国立大。昔の二期校で、一期校だった東大の併願校だった歴史があり、「うちの大学はこんなレベルではない。なぜこんなランキングつくるんだ」といって電話が掛かってきました(笑)。

中根 サンデー毎日でいうと、大学の並び順です。「なんでこの大学の後ろにあるんだ」と言われる。表の並び順もそうですし、「なんでうちの大学は3ページ目なのに、あの大学は最初のページにあるんだ」とかも言ってきます。

後藤 早稲田よりも慶應義塾が先になるのは50音順だから、とか(笑)。

後藤健夫(ごとう・たけお)
教育ジャーナリスト&アクティビスト。1961年愛知生まれ。南山大学在学中から河合塾に。大学卒業後に就職して以来、東京で勤務。その後、独立。早稲田大学や東京工科大学での入試関連業務に従事する一方で、経済産業省や自治体のプロジェクトなどにも参画。

中根 伝統校ほど気にされますね。

後藤 國學院大は漢字にうるさい。国学院久我山は旧漢字でなくても良いようですが。

中根 それは「用字用語の表記統一です」と言って返せるのですが、困るのは「こんなレベルのところの隣にするな」と言ってくる人の場合ですね。

後藤 あと、早稲田だと学部名の並び順位にもうるさい(笑)。普通は文学部から、大学コード順に並べるのですが、早稲田は政経学部を最初にしろと、うるさいんですよ(笑)。当時は「お前らのためにつくっているんじゃないぞ」と言いたかった。立場が変わったいまは「大学には歴史があるんだから、コード順なんてしゃくし定規にやるな」って言いたい(笑)。

――みなさん、そういったこだわりがあるのですね。

中根 日々、そういった電話が編集部にはあります。読者から、「来年は変えてくれるんだよな?」と言われるので、「検討します」と返事すると、また翌年掛かってきて、「検討するとか言っていたのに、変わっていないじゃないか!」と。

後藤 覚えている(笑)。

中根 同じ人が掛けてくる。毎年そういう人がいるんですよ。「お名前を」と尋ねると、「OBだ」としか答えない。大学関係者かもしませんが(笑)。

 学長が直接掛けてくることありました。デスクになった最初の年に、「国際教養大のナカジマです。オタクは?」と言われて、「デスクをしている中根です。学長の中嶋嶺雄先生ですか」と応えたら、「そうです」と。何かと思ったら、やはり大学名の並び順でした。

 公立大の都立大とかの後ろの方に出ているわけですが、「うちはこんなはずじゃない。学生の人数こそ少ないが、偏差値では東大や京大と同じだ」から、もっと前の方にしてほしいと。

――そんなことをわざわざ言ってこられたのですか。

中根 「私はサンデー毎日を愛読している。うちの大学の評価が低い!」と。「一回、(大手商社出身の)副学長を説明に行かせるから時間を取ってくれ」と言われました。

後藤 よくチェックされていた。

中根 といった感じで、中嶋先生からは結構お電話をいただきました。東京外国語大で果たせなかった高等教育改革への思いを、あの学校にぶつけておられた。「サンデー毎日からのインタビューは、どんなことがあっても時間を空けるから言ってくれ」とも。