保守的な群馬の公立進学校事情

 図1図2には、2022年「国公立100大学合格力」ランキングから北関東3県の公立校を抜粋してランキングした。

 私立校の合格力を見ると、上位5校はいずれも茨城県にあり、トップの茨城が19.6、次いで清真学園が16.3となっている。図2の23位と24位の間、34位とそれぞれ同じ水準だ。栃木と群馬の私立校の合格力はいずれも10に満たず、この両県では公立進学校が優位にあることが分かる。

 図1のベスト3はいずれも男子校であり、こうした現象は北関東でしか見られない。女子校は8位前橋女子、13位高崎女子、16位宇都宮女子と、男子校と対を成す学校の姿が見える。茨城県はその点、4位に中等教育学校の並木、5位に中学を付設する日立第一、7位に竹園、14位に水戸第一と、いずれも共学校であり、竹園以外は中高一貫校である。

 ここからは図1と図2を参照しながら、県ごとに見ていこう。群馬県のランク上位はいずれも男女別学校である。戦後の学制改革では、GHQの指示もあって、公立校は全国的に共学化が進んだものの、群馬県はそれに全くといっていいほど従わず、今日に至っている。

 2007年に廃止された八つの学区に沿って、公立進学校の状況を見ていこう。群馬の場合、双子都市のように接する県庁所在地の前橋市と商業都市の高崎市がライバル関係にあり、微妙なバランスを取り合っている。それぞれ男女のトップ進学校があり、前橋市には国立高専と公立工業大を置き、高崎市には県立唯一の中等教育学校に加え、国立大と遜色ない規模の公立大を置いている。
 
 旧中部第2学区の前橋市には、1位県立前橋と8位前橋女子がある。群馬のみならず関東を代表する公立進学校の一つが、通称「前高(まえたか)」の前橋だ。明治10(1877)年開校で、旧制前橋中を前身とする男子校である。前高と対を成すのが、通称「前女(まえじょ)」の前橋女子で、こちらは旧制前橋高等女学校が前身となる。この2校は県内男女のトップ校の地位を譲りそうもない。
 
 旧西部第1学区の高崎市からは5校が載っている。3位高崎(通称「高高(たかたか)」)と、13位高崎女子(通称「高女(たかじょ)」)という、前高と前女のライバル校がやはり旧学区のトップ校として君臨している。27位高崎経済大学附属は、旧制高等実践女学校から続く伝統校で、戦後は高崎市立女子となった。1994年から同じく市立の高崎経済大学の付属校となり、共学化している。スーパーグローバルハイスクール(SGH)にも指定された。36位高崎北は78年設立と新しい。
 
 注目は、県立唯一の中高一貫校で、2004年開校の共学校、19位中央中等教育学校だろう。前身は63年開校の県立中央で、団塊の世代向けにこの時期に開校された公立校の一つだ。隣の栃木県でも同様の高校が中高一貫化している。こちらもSGHの指定を受けている。