千駄ヶ谷キャンパス(渋谷区)を一新した津田塾大だが、メインキャンパスは小平市にある

平均以上の入試難易度は全体の2割

 日本の女子大は国立2(お茶の水女子大、奈良女子大)、公立2(群馬県立女子大、福岡女子大)を含め74大学ある。そのうち、私立大中堅レベルの日東駒専もしくはそれ以上の入試難易度に相当する女子大は、国公立4大学や東京女子医大を含めても全体の2割程度にとどまっている。

 私立大の半数が定員割れ(学部の収容定員充足率100%未満)となっている中、「女子大離れ」も進んでいる。女子大というあり方はすでに「オワコン(終わったコンテンツ)」になってしまったのだろうか。日本の大学の未来を占う先行事例として、女子大の現状を考えたい。

 ここ10年前後を見てみると、閉学(17年度:東京女学館大)、募集停止(24年度:恵泉女学園大、神戸海星女子学院大)、共学化(23年度:神戸親和女子大、鹿児島純心女子大、21年度:東北女子大、19年度:広島文教女子大、清泉女学院大〈看護学部のみ〉、15年度:東京純心女子大)が少しずつ出てきている。

 まずは、東京都内に大学本部がある代表的な女子大の現況について、タイプ別に三つのグループに分けて見ていきたい。

 Aグループは、20世紀後半には早慶に肩を並べるかそれに準じる位置にあった難関女子大(津田塾大、東京女子大、日本女子大)。Bグループは全国的に見ても規模の大きい女子大(大妻女子大、昭和女子大、東京家政大、共立女子大)。そしてCグループは、そのイニシャルから「3S」とも称されたかつての“お嬢様女子大”(聖心女子大、清泉女子大、白百合女子大)となっている。

 こうした女子大が今後も生き延びられるかを判断する上で重要なポイントとしては、収容定員充足率が挙げられる。これは学部生の収容定員に対する在籍学生数の割合だが、100%未満の場合は「定員割れ」となる。また、各年度の入学定員充足率が70%を下回るような学部学科に対しては、文部科学省から募集努力をするか定員の見直しを求める是正や改善の指摘が毎年行われている。

 次に立地である。半世紀前に工場などと同様、都心部からの移転を迫られた大学では、郊外キャンパスを設立する動きが相次いだ。筑波大や中央大はその典型例で、主要学部が他県や多摩地区に移っている。一方で、新たに設立された大学などでは新キャンパスを郊外に設ける動きも盛んだった。女子大でもそうした例は多い。

 ところが21世紀に入ってから、東京都区部に本部を置く有名私立大の場合、多くは郊外キャンパスを縮小・改変して都心回帰の動きを鮮明にしている。郊外にある、最寄り駅からバス便といったキャンパスを学生が敬遠するようになったことがその背景にはある。

 まず、A~Cグループについて挙げた図をご覧いただきたい。数値は一部を除き2023年現在のものである。