
私大志願者数ランキング12年ぶりのトップ交代劇
2025年度大学入試もようやく終了。新しい学習指導要領で行われる初めての入学者選抜という点で、ひとつの節目となる年だったが、これからの入学試験や大学による受験生募集に少なからぬ影響を与えるエポックとなったのは間違いないだろう。
中でも、主要私立大学の一般選抜志願者数ランキングのトップが12年ぶりに交代したのは大きな出来事だった。首位を奪取したのは千葉工業大学(千葉・習志野市)で、16万2005人。14年度以来、連続日本一だった近畿大学を追い落とした。この数は、早稲田大学1989年度入試の16万150人を上回るもので、36年ぶりの新記録となる。
きっかけとしては、千葉工業大学が新型コロナ禍の受験生支援策として21年度から導入した「大学入学共通テスト利用入試」の受験料免除(無償化)が大きかったと考えられる。以来、1位が近畿大学、2位が千葉工業大学という状況が続いていた。
千葉県内の公立高校で進路指導を担当する教員は、「共通テスト利用」入試の受験料免除も魅力的だが、「県内に競合大学が複数ある中で、それらを上回る勢いがある」ため、理系受験生全員に必ず同大学を受験するよう指導しているという。
実際、同大学はこの10年間で志願者数を10万人増やしており、東京都内のサテライトキャンパス開設や、小・中・高校生向けの体験講座の実施など、多様な施策によって志願者層の新規開拓を進めてきた。その傍ら、23年には元・米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穰一氏が学長に就任するなど、大学改革にも注力している。