共テ新科目「情報」の平均は70点、「歴史総合」の難度は……

 このように、私大での利用も増えている共通テストだが、先述のように新学習指導要領での入試実施初年度だった今年は、もちろん共通テストも新課程対応の内容となった。最大の注目点は「情報」が科目として加わったことだ。

 これにより、国公立大学の受験生は「5教科7科目」から「6教科8科目」の受験が必要となった。大学入試センターによると「情報」の平均点は69.26点。ほぼ7割という高いレベルだ。

 首都圏の私立高校で「情報」を教える教員が、今年度の出題内容を振り返る。

「第2問でスーパーマーケットのレジで発行されるレシートの情報を読み取る問題が出ました。問題を読んで『考えれば分かる』出題だったといえるでしょう。旧センター試験や共通テストの『通例』で、初年度の出題は易しい傾向がありますが、『情報』も通例通りなら、次年度以降は易しすぎる出題はなくなっていくはずです」

 また、今回の共通テストでは「歴史」の新科目「歴史総合」、「国語」の新分野「実用的な文章」などがデビューしたが、いずれも「事前の予想を裏切られた」と、ある予備校の講師らが語る。

「『歴史総合』とはいっても、従来の日本史や世界史の学習のみで対応できる出題になると予想されましたが、実際はそうなりませんでした。日本と各国の近代化をきちんと理解していないと解答できない出題でした」(歴史科講師)

「『実用的な文章』は、グラフなど図表読み取りを求める出題でしたが、調査データをどのように発表したら、『もっと良い発表』になるのかを考えさせる出題がありました。これまでの『国語』では見られなかった出題であり、対応するには、高校の指導内容も変えていく必要があります。次年度以降の出題に要注意です」(国語科講師)

「大学入試改革」を推し進める文部科学省には、「入試を変えることで学校教育を変える」思惑がある。教育改革の手段として入試を使うことに教育現場からの批判もあったが、学校教育改革はその思惑通りに進んでいくとみられる。