また、主要5塾以外も含めた塾別の合格者データは以下のとおりである。

18塾の筑波大学附属駒場中学校の合格者ランキング
塾 名 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
SAPIX 73 94 86 104 81
早稲田アカデミー 39 39 42 36 42
四谷大塚 31 25 22 28 23
日能研 10 12 9 3 14
栄光ゼミナール 12 7 11 7 11
エルカミノ 6 5 11 9 9
グノーブル 5 10 7 6 8
希学園 2 4 4 4 5
ジーニアス 3 5 8 3 4

駿台・

浜学園

2 3 6 8 3
TOMAS   9 1 3 2
アントレ       1 1
スクールFC 1 2 4   1
ena   1     1
臨海セミナー   3 1 1  
市進学院   3 1    
進学塾Musashi     1    

※石田達人氏の協力で作成
※栄光ゼミナールはZ会エクタスを含む

筑波大学附属駒場の塾別合格者数の推移・傾向

 2023年の合格実績では、筑波大学附属駒場への合格シェア率の63%*1がSAPIX生と、ダントツの成績を誇っている。ここ5年の合格者数を見ても、定員120名の学校に70名から100名以上が合格しているという圧倒的な合格実績だ。元々SAPIXは難関校を受験する生徒向けの塾であり、やはり難関校に強い塾ということがわかる。

 SAPIX小学部では、「学校別サピックスオープン筑駒」という模試を実施しており、筑波大学附属駒場の試験問題を分析して指導に生かしている。また、志望校別対策講座「SS特訓」という最難関校向け講座を実施しており、「SS特訓」では、男子校の最難関である筑駒と開成の対策ができる。「SS特訓」では、「筑駒・開成」の志望校別講座と単科講座を2講座受講することになり、ハイレベルな授業を受けられるのが魅力だ。

 SAPIXに続いて合格者が多いのは早稲田アカデミーで、2023年の合格シェア率は33%*2になっている。ここ5年のデータでは、40名前後の合格者を出している。元々高校受験で有名な塾だったが、中学受験でもメキメキと成長し、難関校の合格実績も十分にある。

 早稲田アカデミーでは「筑駒中オープン模試」を実施しており、入試問題研究に基づいた授業が受けられることが筑波大学附属駒場の合格者が多い理由だろう。保護者向けにも「筑駒中入試状況・問題分析保護者会」を実施しており、親子で受験に向けた対策を考えることができるのも特徴だ。早稲田アカデミーの志望校別対策講座「NN志望校別コース」に筑波大学附属駒場のコースはないが、御三家や早慶などのクラスがあり、早稲田アカデミーでもハイレベルな授業が受けられる。

 早稲田アカデミーに続いて合格者が多いのが、四谷大塚である。四谷大塚の合格シェア率は18%*3。ここ5年のデータでは、25名前後の合格者を出している。

 四谷大塚では、「筑波大学附属駒場中学校対策講座」を開講しており、過去問演習と解説を通じて合格を目指すことができる。算数は速く解く力、国語は読解力・思考力・表現力を鍛えることができ、他校と比較して試験時間の短い筑波大学附属駒場の対策ができるようになっている。早稲田アカデミーで使用しているテキストは、四谷大塚と同じ『予習シリーズ』であり、このテキストは中学受験のバイブルとなっている。

 ここ5年では、この3社でほとんどの合格シェアを占めており、筑波大学附属駒場を目指す塾としての環境が整っていると言えるだろう。

 その他の塾としては、日能研、栄光ゼミナール、エルカミノ、グノーブルが、多い年で10名程度の合格者を出している。一昔前は、中学受験をする家庭にとって日能研に通っていることがステータスという時代もあったが、現在では中堅〜難関を目指す子どものための面倒見のいい塾になっているのが現状だ。

 栄光ゼミナールは、一人ひとりに合った指導を目指す、面倒見のいい塾という評判がある。「最難関選抜ゼミ」というゼミも開講しているが、全体としては中堅から難関校を受験する子ども向けといった雰囲気があり、筑波大学附属駒場についてはグループのZ会エクタスとの棲み分けができているようだ。

 その、Z会エクタスは、ここ5年で合格者数は栄光ゼミナールと合わせても、10名前後で推移しており、合格者数は少なく感じるだろう。確かに、首都圏に6校しかない塾のため人数としては少ないが、2023年の筑波大学附属駒場の合格率は41%(一般合格率は約25%)*4と、塾生の合格率は非常に高い。

 エルカミノは、算数に特化した塾として知られていて、ここ5年で10名前後の合格者がいる。「筑駒算数講座」というハイレベルな算数コースが用意されているため、他塾と併用で算数の力を付けたい子どもに向いている塾である。

 グノーブルは、SAPIXの創設者が設立した塾のため、カリキュラムや指導スタイルがSAPIXと似ている。まだ成長途中の塾であるが、在籍者に占める合格者の割合はSAPIXと同程度である。

 その後に、希学園、ジーニアス、駿台・浜学園、TOMAS、アントレ、スクールFC、enaが続き、少数ながら合格者がいる。

*1 81÷128(SAPIX生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*2 42÷128(早稲田アカデミー生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*3 23÷128(四谷大塚生合格者数÷筑波大学附属駒場合格者数)で算出
*4 Z会エクタス「合格実績

まとめ|筑波大学附属駒場の合格者が一番多い塾はどこ?

 筑波大学附属駒場の合格者が一番多い塾はSAPIXである。SAPIXは、合格実績2位の早稲田アカデミーや3位の四谷大塚と比較しても、かなり多くの合格者を出している。そのため、筑波大学附属駒場を受験する環境は整っていると言える。

 しかし、SAPIX以外の塾でも、合格者数は少なくとも合格率で見ると同程度の実績を出している塾もある。筑波大学附属駒場を受験するならSAPIXのみならず、他の塾も体験授業を受けるなどして比較してみるのもよいだろう。