大学付属校のメリット3選

 それでは、まずは大学付属校のメリットを3つお話しします。

メリット① 大学受験せずに大学進学できる

 冒頭でも例に挙げましたが、中学受験さえ乗り越えられれば、高校受験と大学受験をしなくて済むのは大きなメリットです。大学付属校を志望校にする理由の中で、最も代表的なものではないでしょうか。

 特にここ数年は、私立大学の定員厳格化により、有名大学や難関大学に受かりにくくなったため、中学からエスカレーター式で進学できる大学付属校の人気が高まっています。 最近は大学入試も多様化しており、これから先も時代や社会の変化に合わせて変化していくことが予想されます。そんな不確実な未来が予想できるからこそ、受験をせずに進学できるのは大きな安心材料になると思います。

メリット② 受験のためだけの勉強をしないで済む

 大学付属校でそのままエスカレーター式で大学まで進学する場合、受験がないので、当然「受験勉強」をする必要がありません。したがって、英単語や歴史の用語を作業的に暗記したり、数学の問題でパターンを覚えるまで何度も解いたりするといった、「THE 受験勉強」のような勉強をしないで済みます。

 受験勉強を通して、勉強への強い抵抗感を覚える人もいる中で、プレッシャーを感じながらする勉強や、試験の結果に一喜一憂しなければならない勉強を回避できるのは、大学付属校ならではの特長だと思います。

メリット③ 余裕を持って過ごせる

 やはり高校受験や大学受験がないため、時間的にも精神的にも余裕を持って学生生活を過ごせるのが、大学付属校の良いところだと思います。中学や高校の3年間は意外とあっという間で、受験を控える学生の場合は、そのうちの1年間をほとんど受験勉強に費やさなければなりません。しかし大学付属校であれば、部活や勉強、趣味など、自分のやりたいことに伸び伸びと取り組むことができます。

大学付属校のデメリット3選

 ここからはデメリットを3つお伝えします。 エスカレーター式で附属の大学に進学できるからこそ、逆に生まれてしまうデメリットもあるので注意してください。

デメリット① 油断が生じやすい

 希望の学部に進学するためにはそれ相応の成績を取る必要があり、あまりに成績が悪いとそもそも内部進学できないケースもあります。 進みたい学部が決まった頃には成績が足りない…なんてことにならないよう、継続的な努力が求められます。

 しかし、中には「内部進学できるでしょ」と高をくくって勉強をサボってしまう学生もいます。その結果、大学付属校ではいわゆる進学校と比べて留年率も高くなる傾向があります。中学受験を終えて燃え尽きてしまったり、中だるみをしてしまったりしないよう要注意です。

デメリット② 進路が限定される

 エスカレーター式で大学へ進学するということは、裏を返せば、その大学にある学部にしか進学できないということです。内部進学するのに十分な成績があり、希望の学部は選び放題という場合でも、そもそも大学に希望の学部がないかもしれません。

 例えば、工学系に興味を持ったけれど、附属の大学には文系の学部ばかり…薬剤師を目指したいのに薬学部がない…ということもあり得ます。中学入学時点では、まだ将来が明確でない場合がほとんどなので、大学進学から逆算して進路選びをするのは難しいですが、「進路が限定されるかもしれない」という視点は忘れずに持っておきましょう。

デメリット③ 外部受験が大変

 成績不振や希望する学部がないといった理由から、いざ他大学を受験しようと思っても、内部進学を前提としている学校であればあるほど、学校からのサポートはあまり期待できません。 何よりも、周りの生徒のほとんどが内部進学する環境下で受験勉強を行うのは、モチベーションの維持が大変です。

 成績不振で内部進学できない場合は仕方がないとしても、そのほかの理由で外部受験をする場合には、明確な意思と覚悟を持って臨みましょう。

まとめ|大学付属校のメリットとデメリット

 大学付属校にはメリット・デメリットがそれぞれありますが、要するに内部進学ができて楽な分、モチベーションを維持するのが大変、他大学へ進学したい場合にはさらに大変ということです。ですから、お子さんに大学付属校を勧める際には 「大学付属校に行けば勉強から解放される、もう受験をしなくて済む」 といった伝え方は禁物です。

「附属に入れば楽ができる」という動機で大学付属校に進学すると、確実に苦労することになります。大学付属校は6年間自由に伸び伸びと過ごせる分、進学校と比べると学習への強制力がありません。何も考えずにぼっーと過ごしていると、あっという間に6年間の中高生活が終わってしまうということにもなりかねません。

「楽をするため」ではなく、受験勉強に縛られずに「興味がある分野の学習を深める」「部活その他の課外活動に打ち込む」ためという意識を持たせるようにしましょう。受験が近くなり、勉強が大変になってきたとき、間違っても「この中学受験を乗り越えたらあとは楽ができるから」などと言ってはいけません。くれぐれもご注意ください。

 大学付属校に進学することがお子さんのより良い未来につながるよう、今回お伝えしたメリット・デメリットを理解したうえで、学校選びをサポートしてあげてくださいね。