中学生が個別指導塾を選ぶ際のポイント
中学生が個別指導塾を選ぶ際には、授業形式、通塾目的、特徴、講師、立地の5つのポイントをチェックしてみてください。
授業形式|完全1:1か、1:2〜か、自立学習か
個別指導塾を選ぶ際は、講師1人に対して生徒が何人なのかを確認してください。授業形式のパターンは、大きく以下の3つに分類できます。
完全1:1
講師1人に対して生徒が1人の授業形式で、完全マンツーマンで指導を受けることができます。わからないことはすぐに質問できますし、きめ細かく指導を受けられるのがメリットです。一方で、授業料が高い傾向にあるので、年間でどの程度の費用がかかるのか、見通しを立てておくことが大切です。
1:2〜
講師1人に対して2人〜4人程度の生徒が指導を受ける授業形式です。多くの個別指導塾では、テキストの問題演習と講師による解説で授業が進む授業スタイルになっています。わからないところを講師に質問したり、間違えた問題を解説してもらったりすることができます。集団授業よりも講師の目が行き届きやすく、完全1:1よりも低価格で授業を受けられるメリットがあります。反面、生徒の人数が多くなる分、受けられる指導の時間が実質的に減るため、費用対効果を考える必要があります。
自立学習
自立学習型の塾は、基本的に授業を行わないのが特徴です。生徒は、タブレットやテキストを使って自立学習を行います。学習スペースには講師が常駐しているので、わからないところがあれば質問することもできます。また、生徒は学習の進捗状況を講師や教室長に報告し、学習の進め方についてアドバイスを受けます。比較的授業料が安く、自主的に学習する力を高める効果が見込める一方で、学習習慣がついていない生徒は継続が難しく、講師によるきめ細かな指導は受けられないというデメリットもあります。
通塾目的|授業の補習重視か、受験重視か
個別指導塾は、カリキュラムが柔軟に決められるのがメリットです。ただし、すべてがオーダーメイドというわけではなく、塾によっては弱点補強や内申点アップを目的に補習を重視しているところもありますし、志望校対策などの入試問題を解く力をつけることを重視しているところもあります。
補習を重視している塾では、生徒の学習状況に応じて、理解が不十分なところから学習し直すことができます。そのため、特に数学や英語のように積み重ねが必要な教科では、生徒の苦手分野の克服や基礎・基本の定着に役立ちます。
受験を重視している塾では、志望校別の対策ができたり、入試方式別の対策ができたりと、志望校合格に向けたカリキュラムが組まれているところが多くなっています。
いずれの塾でも、定期テスト対策を実施していることがほとんどですので、内申点を上げるのに役立ちます。
特徴|大手塾か、地域密着型の塾か
塾には、全国に展開する大手塾と、特定の地域に集中している地域密着型の塾があります。
大手塾は生徒数が多いため、幅広い情報を大量に持っているのが強みです。カリキュラムやテキスト、料金体系など、塾としての体制が整っていますし、高い合格実績やネームバリューもあるため、保護者としても安心して通わせやすい塾だと言えます。独自の模試を実施していることも多く、比較的正確な志望校判定が出るのもメリットです。
地域密着型の塾は、特定の地域に特化している塾です。生徒が通う中学校に合わせた定期テスト対策や、地域の高校の受験対策を受けられるメリットがあります。地域の実情に合わせた指導を行うため、特定の高校の受験対策に特化した「◯◯高校コース」を設置するなど、塾ごとの特色が強いです。
講師|プロ講師か、大学生アルバイトか
個別指導塾には、経験豊富な社会人のプロ講師から大学生アルバイトまで、さまざまな講師がいます。集団塾と比べて、個別指導塾では大学生や大学院生が講師を担当することが多くなっています。また、別途指名料が必要だったり、授業料が高くなったりすることもありますが、プロ講師を指名できる制度がある個別指導塾もあります。
大学生講師には、生徒との年齢も近く、親しみやすいというメリットがあります。一方で、受験情報や学校事情に精通しているプロ講師には、定期テスト対策や受験対策を安心して任せることができるでしょう。
個別指導塾では、「大学生講師が授業を担当し、カリキュラムの設定や面談は社員が担当する」という分業制になっているところも多くあります。講師の経験、子どもと講師の相性などを勘案して、講師を選ぶようにしてください。
立地|自宅や学校から近いか、通いやすい場所か
通塾に時間がかかるのはもったいないため、生活サイクルに合わせて塾を選ぶ方法もあります。例えば、学校の近くに塾があれば、下校時にそのまま塾に行き、勉強できるメリットがあります。また、自宅から近ければ、土日の授業や季節講習の時に便利でしょう。
しかしながら、学校や自宅周辺に通いたい塾がないことも想定されます。そのような場合には、最寄り駅の沿線にある通いやすい塾を選ぶ方法もあります。塾は駅の近くに校舎を構えていることが多いので、沿線の塾を探してみるのもよいでしょう。
中学生が個別指導塾に通うメリット・デメリット
子どもを塾に通わせる際、まず悩むのが集団塾にするか個別指導塾にするかではないでしょうか。個別指導塾に通うメリットとデメリットは次の通りです。
個別指導塾のメリット
個別指導塾のメリットは、生徒の学力や通っている中学校に合わせた指導を受けられることです。
生徒ぞれぞれに合わせたカリキュラムや進度で学習ができる
個別指導塾には、生徒の学力や志望校、得意・不得意などに合わせてオーダーメイドのカリキュラムを編成する塾が多くあります。オーダーメイドのカリキュラムでは、「苦手な科目は前学年に戻って復習し、得意な科目はどんどん進める」など、教科ごとのカリキュラムにも柔軟な対応が可能となります。
先生との距離が近く、わからない点をすぐに質問ができる
集団塾に比べて、講師や教室長との距離が近いのも個別指導塾の特徴です。完全1:1でも自立学習でも講師との距離が近く、わからないところを質問しやすい環境が整っています。個人の理解度に合わせて授業が進むため、わからないところをそのままにせずに学習できるのがメリットです。
内申点対策が得意な塾が多い
個別指導塾は、学校の内申点対策に力を入れている塾が多いのもメリットです。カリキュラムが柔軟なため、学校の定期テストの範囲に合わせて、2週間〜3週間前から対策授業を実施しているところが多くなっています。内申点は定期テストの結果のほか、宿題やレポートなどの提出状況も重要です。そのため、講師に相談すれば、提出物のサポートもしてくれるでしょう。
個別指導塾のデメリット
きめ細やかな指導が受けられる個別指導塾ですが、以下のようなデメリットもあります。
集団塾に比べ、費用が割高な傾向にある
個別指導塾は、集団塾に比べて授業料が割高(各塾の料金は後述)な傾向にあります。もし5教科とも個別指導を受けるとなると、相当な出費を覚悟しておく必要があるでしょう。「苦手な教科は個別指導、その他の教科は集団授業」など、費用を抑えるための工夫が必要なこともあります。
一緒に勉強する仲間がいないため、競争意識を持ちづらい
競争意識が働くことで、高い意欲を持って学習に取り組める生徒もいます。そのような生徒にとっては、集団塾のように切磋琢磨できる環境のほうが望ましいと言えます。逆に、他人と比較せず、マイペースで学習を進めたい生徒にとっては、個別指導塾のほうが居心地のよい環境かもしれません。
個別指導塾が向いている中学生のタイプ
生徒によって、集団塾が向いているタイプと、個別指導塾が向いているタイプがいます。次の4つの傾向がある生徒は、個別指導塾が向いているタイプの中学生であると言えます。
勉強に対して苦手意識がある生徒
勉強に対して苦手意識がある生徒は、学習のモチベーション管理、スケジュール管理などに課題があることがあります。そのような生徒は、先生から頻繁に声を掛けてもらえたり、具体的に学習のスケジュールを管理・アドバイスしてくれたりする個別指導塾が向いていると言えます。
苦手を克服したい教科がある生徒
多くの集団塾では、学校よりも早いペースでカリキュラムが進みます。カリキュラムは、生徒の理解度に関係なく進んでしまうため、苦手な教科が原因で授業についていけなくなる生徒もいます。苦手を克服するためには、わからないところまでさかのぼって復習することが大切であるため、苦手を克服したい教科がある生徒は個別指導塾が向いています。
集団の中で集中するのが苦手な生徒
集団塾と個別指導塾では、学習環境による違いもあります。集団の中で他の子の意見も聞きながら授業を受けたい生徒は、集団塾のほうが合っている可能性があります。一方で、個別ブースでじっくり学習をしたいというタイプの生徒は、個別指導塾のほうが向いています。
部活動や習い事など、課外活動で忙しい生徒
部活動や習い事が忙しく、集団塾の決められた時間割では授業が受けられない生徒にも、個別指導塾が適しています。個別指導塾では、生徒のスケジュールに合わせて時間割を組んでくれるため、「部活動帰りに塾に行きたい」や「習い事のない日に塾に行きたい」など、個人の都合に合わせやすいのがメリットです。
個別指導塾の中学生の料金・費用相場
個別指導塾に通わせる場合、授業料の他にも入塾金、教材費、設備費などの諸経費が必要になることがあります。集団塾に比べて授業料が割高なことが多い個別指導塾ですが、授業形式別の料金・費用相場はどれぐらいなのでしょうか。
通常コースの料金・費用相場
通常コースの料金・費用相場は次の通りです。なお、塾によって授業時間が60分だったり90分だったりするため、授業料を比較する際には、授業時間も確認しておきましょう。
個別指導1:1の料金・費用
1:1の費用が一番高く、費用相場は週1回1教科(月4回)で20,000円〜25,000円(月額)です。プロ講師を依頼する場合は、30,000円以上かかることもあります。
個別指導1:2〜の料金・費用
1:2〜の個別指導は1:1より相場が安く、費用相場は週1回1教科(月4回)で15,000円〜20,000円(月額)です。
自立学習の料金・費用
自立学習の塾はさらに授業料が安い傾向で、週1回1教科(月4回)で10,000円〜20,000円(月額)です。
季節講習の料金・費用相場
授業料とは別に季節講習も計算に入れておくことで、費用の見通しを持つことができます。個別指導塾では、季節講習の料金は「通常授業の1コマあたりの料金✕授業回数」で決まることが多くなっています。そのため、通常の個別指導の他にオプションで授業回数を増やした分だけ費用がかかることになります。
個別指導1:1の料金・費用
1コマ5,000円前後が費用の相場です。16コマを受講する場合は80,000円程度を想定しておきましょう。
個別指導1:2〜の料金・費用
1コマ4,000円前後が費用の相場です。16コマを受講する場合は、64,000円程度を想定しておきましょう。
自立学習の料金・費用
自立学習の場合、通常料金の範囲内で講習期間中も授業を行うことがあり、季節講習を用意していない塾もあります。あるいは、講習期間だけ対面式の個別指導の受講を勧められることもあるようです。
自立学習のみの講習を行っている塾は少なく、費用相場を算出するのは困難ですが、季節講習に10日間通う場合は、40,000円〜50,000円程度を想定しておくとよいでしょう。
中学生向けの個別指導塾の選び方
塾を選ぶ際には、料金だけでなく、塾の特徴や講師との相性を確認することも大切です。気になる塾があれば、入塾前に次の3つを確認しておきましょう。
資料請求で料金の詳細や特徴を理解する
まず資料請求をして、料金の詳細や特徴を理解しておくことが大切です。ただし、資料請求だけでは料金の詳細を開示してくれない塾もあるので、問い合わせや面談が必要になることもあります。
無料体験授業を受ける
ほとんどの個別指導塾では、無料の体験授業を受けることができます。体験授業を受けることで授業の雰囲気を体感したり、講師との相性を確かめたりすることができるので、ぜひ体験授業を申し込みましょう。体験授業の他にも、年度の変わり目や季節講習の時期にはキャンペーンを実施していることもあります。授業料が割安になったり、入会金が無料になったりするので、キャンペーンをうまく利用しましょう。
面談で講師の交代や授業の振替などの制度について確認する
個別指導塾では、生徒のモチベーション管理や授業での質問のしやすさなどの点で、講師との相性が重要になります。万が一、講師との相性が合わなかった際には、講師の交代ができるのかを確認しておきましょう。また、授業を欠席した時に振替ができるのかなども確認しておくと安心です。
中学生向けの個別指導塾に関するQ&A
中学生向けの個別指導塾に関する、気になるポイントをまとめています。塾選びの際にはこちらのポイントも参考にしてください。
個別指導塾は何年生から通うのがベストか?
ベストなタイミングは個別指導塾のタイプによります。例えば、東京都の公立高校を目指す場合で、予習型の塾に通うのであれば、中2の3学期までに通い始めるとよいでしょう。そうすることで、高校入試に必要な内申点対策をしつつ、学力の向上を図ることができます。
また、個別指導塾で志望校対策をしたい場合も同様です。早期に中3までの学習内容を終わらせることで、無理のないスケジュールで過去問対策ができますので、中2の3学期までには入塾を検討するのが望ましいでしょう。
一方、補習型の塾に通うのであれば、定期テストで点数が取れなかったり、授業についていけない苦手な教科が出てきたりした時点で、すぐに通い始めるべきです。苦手をそのままにしてしまうと、内申点が低くなってしまったり、学習に対する意欲の低下にもつながったりします。子どもの学習状況に合わせて、入塾のタイミングを逃さないように気をつけましょう。
個別指導塾の平均的な授業時間・回数は?
個別指導塾の平均的な授業時間は80分〜90分です。短い塾では60分、長い塾では120分ということもありますが、多くの塾は80分〜90分に時間を設定しています。
授業の回数は週1回1コマで、月に3回〜4回になります。ただし、無料で自習室を開放している塾もあり、自習室を利用するためにもっと多く通う生徒もいます。また、定期テスト前になると、定期テスト対策授業を受講するために通塾回数が増えることもあります。
季節講習になると、生徒が受講している教科や学習状況に合わせて、12コマ〜30コマほどの受講を勧められることが多いので、講師と相談して受講回数を決めるようにしましょう。
個別指導塾にかかる年間費用の目安は?
個別指導塾の年間にかかる費用は、授業形式や学年などによって異なります。
授業形式では、1:1に近いほど授業料が高くなります。また、学年が上がるにつれて授業料は高くなっていきます。特に中3になると、志望校別の特訓講座があったり、模試の受験を必須にしている塾があったりするため、費用は高額になります。オリジナルの教材を購入したり、プロ講師を指名したり、オプション講座を追加したりすれば、何かとお金がかかることになります。
一般的な目安では、1:1の個別指導で年間60万円〜80万円(入会金、授業料、教材費、施設費、講習費など含む)の費用を見込んでおきましょう。1:2〜の個別指導なら年間50万円〜70万円、自立学習型なら年間40万円〜60万円程度を目安として考えておくとよいでしょう。
個別指導塾の講師の質はどう見極める?
個別指導塾において、講師の質は特に重要です。学力の上がり方は講師の教え方に左右されますし、生徒のモチベーション管理にも講師の影響が強く反映されます。
講師の質を見極めるには、体験授業を受けるのが最適です。可能であれば、保護者も授業を見学させてもらうと安心でしょう。体験授業を受けて、生徒自身が「この先生がいい」と感じるのであれば、相性のよい講師であると言えます。ただし、体験授業の先生が引き続き授業を担当するかどうかはわかりませんので、時間の都合や受講したい教科を伝え、どの講師が担当になるかを確認する必要があります。
また、個別指導塾によっては、講師との相性を確認するために、入塾から数回の授業を複数名の講師が担当することもあります。このようなシステムを採用している塾であれば、いろいろな講師の授業を体験することができるので、講師の質が見極めやすいと言えるでしょう。
中学生向けの個別指導塾に関するまとめ
中学生向けの個別指導塾には、全国に展開する大手塾や地域に特化した塾、1:1できめ細やかに指導する塾や自立学習で自ら学ぶ力を高める塾など、さまざまなタイプがあります。
ほとんどの個別指導塾では無料体験を実施していたり、季節講習が割安で受講できたりするので、まずは体験授業を申し込むのがおすすめです。
体験授業と同時に入塾の説明を受けることもでき、その際に詳しい料金も教えてもらえるので、ぜひ通いたい塾に問い合わせてみてください。
学校の学習範囲外からも出題される私立中学入試とは異なり、公立高校入試では中学校の学習範囲内からしか出題されません。つまり、特に難解な内容を学ぶわけではありません。
したがって、大半の中学生にとって成績を向上させるために最も重要なのは、講師の教科指導力よりも、本人のやる気だと私は考えます。やらされるのではなく主体的に学習に臨み、勉強時間をきちんと確保すれば、必ず成績は上がるからです。
よって塾の選び方は、やる気になれる場所かどうか、です。尊敬できる先生、ライバル、集中できる環境、・・・やる気になるポイントは子どもそれぞれなので、体験授業で各塾の雰囲気を実際に見て選ぶようにしましょう。