TOMASを一言でいうと
個別指導の進学塾。他の大手個別指導塾では合格実績でどの学校に何人合格かという人数を公表しないが、TOMASは数字を明記している。単に生徒の学習のフォローをするというだけではなく、集団塾と同様に生徒を希望の学校に進学させることを目標にしている塾だ。
講師は2段階にランク分けがされる
講師はスーパーエッセンシャルとエッセンシャルに分かれる。エッセンシャルは大学生講師も含まれるレギュラーランク。スーパーエッセンシャルは指導力がさらに高いプロ講師たちだ。
スーパーエッセンシャルの講師は経験の長さや学力の高さ、そして、合格実績(生徒を希望校に合格させたか否か)で選ばれる。個別指導を1対1で行う場合、その生徒の弱点を見つけ出し、そこを改善するように指導していくわけだが、スーパーエッセンシャルの講師はそのスキルが高い。実際、TOMASの人気のスーパーエッセンシャル講師に指導してもらったら、「成績がぐんと伸びて驚いた」という話もしばしば聞く。
ちなみに、スーパーエッセンシャルの人気講師は人気が非常に高く、指導はなかなか受けることができない。受験は2月に終わるためいくつか枠は空くが、すでに次の受験生が予約待ちをしている。
その場合、人気スーパーエッセンシャル講師の指示の下で、他の講師が指導をしていくこともある。チームを組んで指導をしていくわけだ。
積極的に優秀な講師を探して採用していく
大学生講師の採用にも力を入れている。積極的に人材を探すために、大学に出向いたり、ネットでマーケティングをしたりしている。
採用する段階でまず書類審査、面接審査、学力審査、適性検査と4つの審査を受け、クリアした大学生が講師として採用される。採用された場合、研修も丁寧にしていく。まず、ホワイトボードへの板書の仕方から言葉遣い、生徒への接し方、振る舞い方などの社会人としてのルールを教えていく。
「TOMASは教育産業と同時にサービス業だと考えています。ですから、うちで働いていた大学生は社会人としてのマナーが身につくせいか、就職活動が好調です」(教務企画局 局長 小野哲也さん)
実際、池袋校で教室を見学した時に見た大学生講師たちは身だしなみがキチンとし、授業の前に出勤し熱心に授業準備をしていた。
授業の前には1分ミーティングというものがあり、管理職の社員が講師たちに「もうすぐ大きな模試があるからその対策を頑張りましょう」といった具体的な業務目標を話す。そのため、講師たちはギリギリにやってくるということはなく、余裕を持って出勤してくる。
なお、授業の後にはその日、何をやったかなどの報告が書かれた連絡ノートを生徒に渡し、保護者はそれで講師とコミュニケーションをとることができる。
優秀な講師を採用するために、待遇も業界の中ではトップクラスであり、能力も評価し、それが待遇に反映される。個別指導塾も低価格競争に入っており、多くの塾は人件費を削って、講師の質が下がりがちだが、TOMASはその流れとは一線を画す。
完全1対1の個別指導
一般的な個別指導塾は講師が生徒の横に座って指導をする。TOMASは完全な1対1なので生徒の正面にホワイトボードがあり、講師はその前に立って板書をしたり、生徒の手元を見たりする。
他の個別指導塾に比べ、パーティションが高く、ひとつひとつのブースが個室のような感覚だ。そのため、保護者が授業を見学できるようになっている。池袋校では車椅子の生徒が学べるブースもある。
講師が1人で生徒が2人、3人の場合は、1人の生徒に費やす時間に差がでることもある。また、1人の生徒に問題を解かせる間にもう1人の生徒に指導をするので、問題を解いている時の手が見えない。
「スピーディーに解くべき問題と時間をかけて解いた方がいい問題があります。手元を見ていないとそういうことの指導もできなくなってしまいます」(小野さん)
その手の動きで、その生徒は何が分からなくて、どこが弱点なのかも見えてくる。たとえば、小学生が筆算をする手つきを見て、計算のどの部分で苦戦しているか分かることもあるはずだ。
「夢の志望校」を決め、合格のためのカリキュラムを作成
TOMASの特徴は個別指導塾でありながら進学塾であることだ。入塾すると、講師と担当の教務社員がカリキュラム表を作る。
「本当の第一希望を聞き出し、そこに合格するには、今から何をすればいいかを考えて、カリキュラム表を作ります」(小野さん)
このカリキュラム表は大きくは年に二回更新し、日々マイナーチェンジしていく。
中学受験で集団塾のフォローのためにTOMASに通う生徒も多い。
「集団塾のクラスを上げたいというご要望もありますが、目標はクラスを上げることではなく、志望校に合格することのはずです」(小野さん)
目先のことよりも、最終的なゴールを考えるようにもアドバイスをし、講師、教務担任、生徒、保護者が一丸となって志望校合格を目指していく。第一志望が処理系(基礎的な問題を大量に出す)の入試傾向ならば、処理力を鍛えていく対策が必要になるが、その場合、併願校も処理系の入試問題を出す学校を選んでいく。
具体的に第一志望校が決まっていなくても、男子校を希望する場合は算数の図形の対策に力を入れ、女子校の場合、国語の長文を読むトレーニングをしていく。そういった対策をカスタマイズして行える。
なお、TOMASの校舎はすべて直営で、必ず1人は社員がいる。
選抜講師による集団授業も
「最難関中算数特訓」「東大特訓」などの難関向けの集団授業の特訓も開催している。TOMASの看板講師が授業をし、「難関を目指す」という同じ目的を持つ生徒同士で集まることで刺激を与え合う効果もある。
スペックTOMAS、メディックTOMAS
スペックTOMASという最難関中学受験専門個別指導塾ブランドを自由が丘でスタートしている。筑駒や御三家を狙う生徒のためのものだ。
集団塾の場合、全体の進度が同じになるが、その場合、「もっと速くてもいい生徒」と「もっとゆっくりの方がいい生徒」は損をすることになる。早くにすべての内容を終えれば、その分、復習を多くして、苦手な分野に時間をかけて勉強していくことができたら効率的に対策ができよう。また、生徒によって「算数は得意だから速く進めてもいいが、社会は苦手だから少しゆっくりやろう」というふうにも対応ができる。
スペックTOMASだけで対策をする生徒もいれば、集団塾と併用して1教科だけ受講する生徒もいる。
また、医学部対策にメディックTOMASというブランドも展開している。医学部も大学によって入試傾向が違ってくるため、その傾向に合わせて効率的に対策をしていく。各科目の講師、教務担当がチームを組んで、その生徒を医学部に合格させていく。市ヶ谷、横浜、大宮、吉祥寺、ほか千葉のTOMAS千葉校・津田沼校・柏校に併設された校舎がある。
TOMASを運営するリソー教育グループには小学校受験の伸芽会もあり、小学校受験から大学受験までが同グループ内でできる。そのため情報が豊富であり、中学受験をする生徒には大学進学までを考えた志望校選びのアドバイスもできる。
どんな評判の塾か
TOMASの基本情報
校舎数 | 99校(医学部専門予備校「メディックTOMAS」、最難関中学受験専門「スペックTOMAS」含む) |
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生徒数 | 15,000名(季節変動あり) |
授業料 |
学年、受講回数により異なる (授業料は基本的に公開していません。お問い合わせがあったときのみお答えしています。) |
自習室の有無 | あり |
質問対応 | あり(自習室に質問対応講師が常駐しているわけではない) |
授業の生徒数 | 講師1人に対して生徒1人 |
専任講師の比率 | 指導は基本的にアルバイト講師 |
生徒の男女比 | ほぼ6:4 |