四谷大塚の公式サイト
四谷大塚の公式サイト

四谷大塚とは、どんな塾か?

 四谷大塚といえば、「THE 大手塾」。バランス感覚に優れている。

 塾はどうしても「難関校対策に強いか、中堅校対策が中心か」に分かれてしまうが、四谷大塚は御三家などの難関校対策から中堅校対策まで幅広く対応ができる。

 また、中学受験で最大規模の模試を主催しているために豊富なデータを持っている。

四谷大塚のテキストは「予習シリーズ」

 中学受験の一大メジャーのテキストは、四谷大塚が発行する『予習シリーズ』である。

 市販もされており、多くの塾がこのテキストを使用して授業をしている。関東の中学受験生の半数がこのテキストで勉強をしている。

『予習シリーズ』は非常にオーソドックスなテキストだ。

 まず、各単元の冒頭には具体的な説明が書かれている。たとえば、算数のテキストの多角形の項ではまず「正三角形や正方形はバランスのよい美しい図形です。この正三角形と正方形をそれぞれ2等分してできた図形を組み合わせたものが三角定規です」と説明が書かれ、その後に平行四角形の面積を求める例題がある。

『予習シリーズ』には中学受験で必要なことはすべて書かれているといっても過言ではない。そのため、『予習シリーズ』を使用していない塾の生徒の保護者もこのテキストを買っているケースも実に多い。

 メリットは、授業で分からないところがあっても、帰宅後、『予習シリーズ』を見直せばいいところだ。生徒ひとりで理解できない場合は保護者が一緒に読めばいい。

 ある保護者はいう。

「私たち夫婦は中学受験の経験がないので、何をするのか分かっていなかったんです。『予習シリーズ』に目を通すと、中学受験の内容が一通り理解できます。何をどう勉強するのか。どんな問題が出て、どうやって解くか。冊子になっているから、整理が楽なのは便利なポイントです」

読解力がまだ伸びていない子には、予習のハードルが高い?

 デメリットとしては、小学生にとって、テキストの説明文を読むことは実はハードルが高いという点だ。

 読解力が高い生徒はいいが、そうでない場合、保護者が付き添う必要性が出てくる。

 復習主義(予習をさせない)の塾のテキストは、基本的に説明文がなく授業で「いきなり問題を解かせる」という形式だ。もちろん、はじめての問題はひとりでは解けないから、クラスメートや講師と一緒に解いていくわけだ。読解力はまだ伸びていない生徒の場合、この「いきなり問題を解かせる」テキストの方が向いていることもあるだろう。

 また、『予習シリーズ』は冊子になっているので重たい。

「小学校から直接塾に行かせようとしましたが、テキストを持ち歩くのが大変そうでした」(2022年終了組保護者)

四谷大塚の授業は、予習を推奨

 四大塾では唯一、「予習主義」。予習をすることを推奨している。

 予習をしないと授業についていけないことはないが、予習をきちんとしていくほど授業での理解度は深まる。

 学習は導入(最初のとっかかり)があり、それを定着(理解)させ、復習をするという流れだ。

 復習主義の塾では授業は導入から始まる。結果、定着までを授業中に行えない。ちゃんと理解していない状態で帰宅するから、宿題で苦戦することになる。

 しかし、ちゃんと予習をしていけば、すでに導入を済ませていることになるので、授業中に定着できる基礎が分かった状態で宿題をするのでスムーズに済ますことができる。

 先に述べたように、『予習シリーズ』には丁寧な説明が書かれていて、予習の段階でそれを読むわけだが、小学生にとって説明文を読むのはハードルが高いのだ。そのため、横に保護者が座って、予習につきあう必要があったが、今は「予習ナビ」という映像教材があるので、それを活用することで保護者の負担は減っている。四谷大塚は東進ハイスクールを運営するナガセ傘下になり、映像教材やIT教材の開発が進んでいる。

 「復習ナビ」という映像教材もあり、こちらは授業の後に見るものだ。欠席したり、授業中に分からなかったりしたところがあってもこれを見直すことができる。

「予習主義」の是非

 この「予習主義」の授業は中学入試対策の点で、効率がよくないという意見もある。

 小学生の読解力が低下する現在、ひとりでテキストを読ませるという作業をさせるのはなかなか大変だ。それよりは授業で最初から講師に教わった方が、スムーズに学習が進む。

 しかし、「非効率」を理解した上で四谷大塚はあえて予習を推奨している。

「予習をさせることは、入試対策で回り道かもしれません。ただ、その生徒さんの20年後のことを考えると、与えられたことだけをこなす学習でいいのか。塾に来る前に自分で予習をする姿勢を持ってほしいんです」(教育部長本部長 成瀬勇一さん・『中学受験 やってはいけない塾選び』杉浦由美子著 青春出版社より)

 この「20年後のことを考えてほしい」という意向から、月に一回「未来発見講座」を開催。第一線の研究者や経営者などの話を全生徒が聞き、自分の将来を考えるきっかけ作りをしている。 

四谷大塚はベテラン講師が多い

 老舗塾らしくベテラン講師が多い。非常勤講師もすべて社会人で、大学生バイト講師がいない。経験値がある講師は何が優れているかというと、生徒の理解度を把握できるところだ。

 沢山の生徒をみてきているから、小学生がどこでつまずいてしまうかを知っている。ひとりひとりの生徒の理解度を把握できるから、理解が遅い子がいれば、それに対してのフォローもできる。

 また、昭和の時代から理知的な講師が多い。

 受験生の親世代は、塾でスパルタ指導を受けた経験があることも多いが、四谷大塚はそういう評判が昔からなかった。以下は中学受験生の保護者の体験談だ。

僕は四谷大塚に通っていました。当時は塾で講師が生徒を竹刀で叩いているところも多くありましたが、四谷大塚はそういったことがない塾でした
(中学受験生の保護者)

四谷大塚は何を目標にした子どもにお勧めか

 中学受験の塾に入るのは3年生の2月からがスタンダードだ。しかし、3年生の2月の時点では6年生の2月の学力は推測できない。

 難関校対策を重視する塾の中には、学力上位のクラス以外は放置するところもある。

 しかし、四谷大塚はすべてのクラスをちゃんと最後まで指導する。

「勉強をしてみて、6年生の冬の学力に合った学校を受ければいい」というスタンスの保護者の子供には合うだろう。

 反対に、「絶対に御三家に入れたい」という場合や、最初から「近所の偏差値50前後の学校に通わせたい。最低限の対策をしてほしい」という場合は、それらに特化した塾の方がいいかもしれない。

 また、四大塾で最も入塾テストのハードルが高いのは四谷大塚だ。2人に1人しか合格しない。不合格でも再チャレンジできるようにアドバイスをしたり、課題を渡したりもしてくれる。

保護者は四谷大塚をどう思っている?

 保護者は、四谷大塚をどんな塾と考えているのか。取材の中で聞いた、保護者達の評判や口コミをまとめてみた。

ベテランの講師が多く、相談がしやすいです。宿題をサボると講師からメールがきてちゃんとやるようにといわれます
(四谷大塚現役生徒の保護者)
入試をクリアするだけではなく、その先のことを考える塾だと思います。中学以降は学校の授業も予習が必須になります。小学生の段階から予習の習慣をつけさせたいと思い四谷大塚を選びました。ただ、4年生の時は子供がひとりで予習をするのは無理だったので、横につく必要がありました。5年生の後半になるとひとりで予習ナビをみたり、テキストを読んだりしてくれるようになりました
(2023年終了組の保護者)
自習室があり、講師の手が空いていれば質問もできます。ただ、宿題を塾でやらせてくれるほどの手厚さはないです
(2022年卒業生の保護者)
何かトラブルがあった時、中小の塾だと合格実績を優先するためにトラブルに対応してくれない場合があります。しかし、四谷大塚は困ったことが起きたらちゃんと対応してくれました。大手塾らしい信頼感があります
(終了生の保護者)

基本データ

校舎数 34校。2023年2月時点
生徒数 約1万人
本科教室の授業料 4教科本科コース
小学4年生 ¥36,300
小学5年生 ¥45,100
小学6年生【~8月】 ¥57,750
小学6年生【9月~】 ¥79,750
https://www.yotsuyaotsuka.com/school/yotsuya_fee_new.php
自習室の有無 あり。専用の自習室はないが、空教室、自習用スペースを開放している。講師に随時質問可能
質問対応 授業の前後で対応
授業の生徒数 学年、クラスによって、10〜20名程度
専任講師の比率 専任講師、非常勤で授業。学生バイトはいない
生徒の男女比 男子5:女子5

基本データの出典:『中学受験 やってはいけない塾選び』(杉浦由美子著、青春出版社刊)