大手でありながら、きめ細やかなサポートが魅力
予備校の授業といえば大教室で大人数という印象があるが、現在の河合塾は、高校2年の場合、1クラス15人から20人ほどのクラスが多い。基本的に大人数の授業ではないので、講師は一人ひとりの生徒の様子を確認しながら授業を進める。生徒が問題を解く時には、講師は机の間を歩き、生徒の手元を見て理解度を把握する。
授業の流れは、教材に沿って生徒が予習してきたことを講師が解説し、最後に理解度を確認するためのチェックテストを行う。さらに、学期ごとに学力診断テストで習得度を測っている。
毎回の授業後には、生徒が授業の理解度や感想をアンケートに入力し、講師からフィードバックを受ける仕組みになっている。日頃、チューターに質問や相談ができる環境は整っているが、さらにアンケートの内容やテストの結果、授業中の様子など、総合的な面から理解度が足りていない生徒には個別にフォローをすることも多い。難関大学では記述問題が多いので、難易度の高いクラスでは対策として記述の問題も増え、それに対して添削指導がされる。
大手予備校でありながら、きめ細かく生徒一人ひとりを見る方針である。
経験豊富な講師が一人ひとりに目を配る
中堅塾などで長く指導をしてきた講師が、河合塾に転職してくるケースが多い。採用の際は模擬授業をし、指導技術をしっかりと確認する。そのため授業の技術が高く、指導力も優れたベテラン講師が目立つ。若手でも30代後半ぐらいの講師といった年齢構成だ。
「かつての予備校のように大教室で講義をするイメージではなく、現在は一人ひとりの生徒に目を配るというやり方をするように、ベテラン講師の指導法も変化しています」(佐藤両 河合塾町田校 校舎長)
また、集中力を保つため、塾のように講師が頻繁に生徒を指すというよりは、生徒が予習した問題について講師が解説する授業スタイルが多い。指導のスキルが高いため、生徒は授業に専念できる。
クラス別のオリジナルテキスト
オリジナルテキストを使用。「標準」「難関」「特別選抜」と、クラス別に違うテキストを作成している。例えば、数学のテキストにはまずわかりやすい基本的な説明が載っている。生徒はそれを読み、例題を解いて予習し、授業ではその予習した内容の解説を聞く。
「多くの問題を解くのではなく、テキストに載っている厳選された問題を何度も繰り返し解いていくことで学力を上げていきます。数学に関しては公式に当てはめて問題を解くのではなく、思考のプロセスを重視します」(佐藤両 河合塾町田校 校舎長)
そのため、授業の予習・復習を欠かさないことが基本スタンスだが、さらにテキスト以外の問題集などを解きたい場合は講師やチューターに相談ができる。
チューターとフェローによる学習サポート
講師以外にも生徒の学習をサポートするスタッフがいる。まずは職員と大学生スタッフたちが担うチューターだ。生徒一人ひとりに職員と大学生スタッフの2名のチューターが担当としてつき、生徒の学習状況を把握し、適宜アドバイスする。
例えば、学習時間が長いのに模試の成績が上がらない場合は、勉強の仕方に問題があるはずだ。それを生徒とともに分析し、改善していくこともある。また、志望校選びなども一人ひとりに合わせてアドバイスしていく。
チューターとは別に、フェローという質問対応専門講師もいる。フェローは生徒たちからのさまざまな質問にマンツーマンで対応する。河合塾の授業では扱わない学校の定期テスト対策に関することや、受講していない科目の質問にも応じる。さらに、各種の添削指導や英語資格の面接指導なども行う。こういったサービスが追加料金なしで利用できる。
対面授業と映像授業を組み合わせたハイブリッド型学習
河合塾の授業は対面授業を中心としつつも、映像教材も併用するハイブリッド型である。人気講師の授業を録画し、それを生徒はいつでも視聴できる。
授業を受けた内容を「少し理解が足りていない」と感じる場合は復習として映像授業を見ることができるし、部活動が忙しいなどで校舎に通えない場合は映像授業を受けて、部活動を引退したら校舎に通って対面授業に切り替えることもできよう。
「コロナ禍を経て、生徒たちは映像授業への抵抗感が少なくなり、有効活用することが増えています」(佐藤両 河合塾町田校 校舎長)
小学生だとまだ子どもなので、映像授業ではなかなか学習しにくいことも多いが、大学受験生ともなるとモチベーションも高く、利便性の点からも映像授業との相性はいいようだ。
信頼性の高いデータ分析で受験戦略をサポート
日本最大級の生徒数を誇る予備校なので、自社の模試で信頼性の高い偏差値が算出できる。共通テストの後もすぐに生徒に自己採点させ、得点を過去のデータと照らし合わせ、まとめた内容をデータブックにして素早く作成する。それをもとに生徒が「どの大学になら何パーセントで合格できる」というデータを出し、チューターとの面談を通して受験校を決定していく。
「河合塾は全国に校舎があるので、全国の大学の情報が入ってきます。町田校の生徒の大半は東京か神奈川の大学を志望しますが、中には四国や九州などの国立大学を志望する生徒もいます。そういった時はその大学の地元の校舎のデータを見ることができるので、遠隔地にいても、どういった学力層の生徒が受験するのか、入試の出題傾向はどうなのかといった情報をしっかり提供することができます」(佐藤両 河合塾町田校 校舎長)
予約不要で利用できる自習室
基本的にはどの校舎でも、予約なしでいつでも利用できる自習室がある。ついたてがついた専用の自習室以外にも、空き教室を自習室として開放している。
予約なしで利用できるのはそれだけ席数が多いからで、町田校の場合「自習に来たけど満席で自習ができない」ということはまずない環境だ。朝8時から自習室を開放しているのも特徴だ。
校舎によっては、現役生向け・高卒生向けなど、専用の自習室を設置しているケースもある。また、ラウンジという名前のフリースペースがあり、勉強の合間に食事をしたり、休憩をとったりすることができる。
河合塾に合う生徒、合わない生徒
基本的には学校の成績を上げる補習塾ではなく、大学受験を突破するための進学予備校なので、補習だけを求める生徒には個別指導(オンライン)を勧めている。また「学校との両立」を推奨しているため、大量の宿題を出して、大量の問題を解かせる方針ではないので、それも好みが合う合わないがあるだろう。
河合塾の基本データ
校舎数 |
53校舎 「東大現役進学塾MEPLO」を合わせた数値) |
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授業料 |
■高1生 2講座受講した場合:299,000円
■高2生 2講座受講した場合:402,500円
■高3生 4講座受講した場合:861,000円
首都圏・中部・近畿エリアで受講した場合の授業料。 季節講習料金は含みません。 |
自習室の有無 | 教室の開室時間にいつでも利用可能 |
質問対応 |
授業の前後に対応。授業講師とは別に、 各科目の質問にマンツーマンで対応するフェロー制度あり |
進路相談 |
職員チューター1名、 または職員と大学生チューターの2名で担当 |
授業の生徒数 | 学年、校舎(教室)、講座によって異なる |
講師 | 社会人講師のみ |
生徒の男女比 | 非公開 |