テキストを使用しない「QE授業」とは
湘南ゼミナール(小中部・高校受験対策)ではテキストを使用しない「QE(Quick Exercise)授業」という授業を行っている。講師がその場で一問を板書し、それを生徒に考えさせ、指名して、答えさせる。そうやって一問ずつ解いていくことを繰り返していけば、授業がスピーディーになり、生徒は集中力が維持できる。
板書をすべて書き写すのではなく、重要なものや書き留めるべきものを講師が指示していく。黒字が普通、青字は重要、赤字は注目すべきものなどと、講師が書き分けている。
また、問題が終わると解けて正解だった生徒を挙手させ、クラス全体の理解度を確認する。あまり手が上がらなかった場合、同じ問題の数字を変えるなどしてもう一度やっていくこともある。
20年前から授業の均一化に取り組む
この「QE授業」の内容はすべて均一化されている。扱う問題、そしてその問題をどう教えるかは本社の教務部の担当者たちが作成し、それを印刷する。
「セントラルキッチンがあり、そこで材料の準備や下ごしらえをして、それを現場の講師が料理して提供していきます」(代表取締役社長 中嶋歩さん)
合格に必要な学力を身につけるために必要なものを逆算した統一カリキュラムを作り、それをセントラルキッチンで的な問題や指導方法にして、それを各校舎で均一化された授業を行なってる。
生徒に書き写しをさせる箇所や色分けなども、原則指定されている。結果、どの校舎でも同じ内容の同じクオリティの授業が受けられるシステムになっている。
塾が規模を拡大し、校舎が増えると講師も増やすので、授業の質に差が出てくる。結果、「あの塾は校舎や先生によって当たり外れがある。うちの近所の校舎は外れかも」という評判が広がると、生徒は集まらなくなっていく。
そのため、大手塾は授業を均一化し、どこの校舎、どのクラスでも同じ授業ができるようにしていく必要があるが、これをキチンとできている塾はそうそうない。しかし湘南ゼミナールは、この「授業の均一化」を20年以上前から行っており、「どこの校舎でも同じクオリティの授業が受けられる」ことを実践している。
小中部は全131校舎で、そのうち14校舎では「横浜翠嵐Vコース(中1~中3)」を設定している。「横浜翠嵐上位合格のための」と銘打っており、全国でもトップクラスの難関公立高校である横浜翠嵐の入試対策に力を入れている。こちらのコースもシステム化し、14校舎で同じ内容を学べる。
神奈川の公立トップ高では教科以外に「特色検査」という科目横断型の問題を出すが、「横浜翠嵐Vコース」と、各校舎で実施している「トップ校特訓講座」では中学1年の後半から特色検査の対策もしていき、「この問題ではなにを問われているか」を見抜く方法も教えていく。
ノートと問題で構成されるQE授業用テキスト
テキストの左半分は罫線が引かれたノートになっており、授業で講師が指示した箇所を写していく。テキストの右側は問題がならんでいて、それを授業の後半に解いてみたり、宿題で出されたりもする。双方向の「QE授業」で学んだ内容を、実際に自分で解いていく。塾の授業中に、理解し、解けるようになるところまで到着する。
親身なお兄さん的な講師陣がモチベーションを上げる
授業を見学すると、清潔感ある若々しい講師が多い。「親身になってくれるお兄さんお姉さん」といった存在感だ。授業の最初などの漢字テストの後に、「入試本番で漢字は満点をとれるように、今からコンスタントに努力していこう」という旨を話し、目標を提示し、具体的にどう学習すればいいかも教え、モチベーションを上げていく。
また、湘南ゼミナールでは全校舎で授業を録画している。お手本となる授業を新人講師がみて、勉強をすることもでき、新人や若手が自分の授業を動画でみて確認することもできる。
また、研修官(指導をする立場の講師)が部下の授業動画をみて、「34分20秒ぐらいのところを見直してほしい。こうしたらどうだろう?」とアドバイスをすることもできる。この方法の場合、遠距離にいても研修官の指導が仰げるわけである。
テスト対策だけではない、内申点を上げる工夫
神奈川の高校受験は私立も内申点を重視する。その神奈川で実績がある塾は内申点を上げる指導に長けている。湘南ゼミナールの校舎は近隣の学校の情報を持ち、それを基に定期テスト対策をしていく。
たとえば、定期テスト前の週末には無料で学校別定期テスト対策講座を開催する。駅前だけではなく、住宅街の中にも校舎がある。そういったロケーションの場合、生徒が通っている中学は多くても3校ほどだ。数が少ないほど、その校舎は各学校の定期テスト対策がしやすくなる。
ただし、定期テストで高い得点をとっても、それだけでは内申で「5」はとれない。では、どうしたらいいか。そこからが塾の腕の見せ所になるが、内申点を上げるための指導も湘南ゼミナールはシステム化し、「成績『5』のとり方」プログラムを構築している。
たとえば、学校のレポート(提出物)でどうしたら高い評価が得られるか、例を挙げよう。
「新しい技術と伝統的な文化は生活の中でどのように共存しているか」というテーマでのレポートの締めの部分で、「以上のことから、新しい技術と伝統的な文化を共存させることは大切だと思いました」と書いた場合、感想で終わってしまっているので高い評価はされない。
「私たちは優れた科学技術の活用をするだけではなく、古き良き伝統文化に対する理解を深める取り組みをしていく必要があると思いました」などと「これからどうしていくか」についての自分の考えが書かれていると評価されやすくなる。こういった「評価されるレポートの書き方」はトレーニングが必要であり、それをしっかりと指導してくれるわけだ。
加えて、内申点を高めるためには授業態度も評価されるので、授業を受ける姿勢もキチンと教えていく。
小学生のための公立高校受験コース
湘南ゼミナール小中部の本格的な授業は小学4年生から始まる。小学校の教科書に準拠するが少し難しい内容にし、2ヶ月ほどの先取りをしている。中学で成績「5」がとれるように準備をしていく。英語は英検5級や4級を目指す講座があり、授業はオールイングリッシュで人気を博している。
向いている生徒は?
「楽しく学ぶ毎日が、君のトップ校に導く」という方針で、生徒が講師に親近感を持ち、それによってモチベーションを上げていく指導の塾であるから、反対に「ビシビシとスパルタ指導で成績を上げてほしい」という保護者とは合わないだろう。また、入会テストがあり、合格点に達しないと、個別指導を勧められる。個別指導で学力を上げて集団授業に移行する生徒もいるため、「学習が大きく遅れているからどうにかしてほしい」という場合はまずは個別指導となる可能性もある。
どんな評判の塾か
湘南ゼミナール(小中部・高校受験対策)の基本データ
校舎数 | 253(2023年7月現在) |
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生徒数 | 約35,000名 |
授業料 |
小学3年生:(1科)6,200円/月
※その他、以下の費用が必要 |
自習室の有無 | 原則あり(校舎の開室時間であれば原則利用可能) |
質問対応 | あり(授業前後の個別フォロータイム) |
授業の生徒数 | 20名前後 |
専任講師の比率 | 非公表 |