「受験勉強」とは何か
定期テストのために一生懸命勉強しているのも立派な受験勉強だと思います。しかし、ただ流れで定期テストだけ、テスト週間だけ、宿題だけしているのは、私の中では受験勉強と呼んでいません。
私は「目標を明確にし、志望校と向き合い、分析し、能動的に継続して勉強をしている状態」を受験勉強と呼んでいます。つまり、それを開始したところからが受験勉強のスタートだと定義しています。そのため、戦略的に見て必要な科目の対策として定期テストの勉強をすることも、立派な受験勉強だと思っています。
受験勉強を早く始める理由① 復習範囲を最小限にできる
受験勉強を高校3年生からスタートすると、志望校との学力差がある場合は、1・2年生の2年間で習ったことの復習から始める必要があります。それと並行して3年生で新たに習うことも対策しなければならないため、学校の勉強と受験勉強の両立が、志望校との学力差があればあるほど難しくなります。
その一方で、たとえば2年生の夏に受験勉強を始めたら復習する範囲は1年半分、2年生の初めなら1年分、1年生の夏なら半年分というように、始める時期が早ければ早いほど復習範囲はより少なくて済みます。もちろん勉強を続けていくことは必須ですが、志望校との差の開いている部分を解消できれば、その後の勉強も高い水準で推移していくことができます。
受験は知識の積み重ねです。科目の初期や基礎でわからない箇所を放置すると、その後の勉強の効率が悪くなってしまいます。
受験勉強を早く始める理由② 偏差値を上げやすい
模試の偏差値は、ライバルとの学力の差がどれだけあるかを数値化したものです。受験勉強を始めている高校生がまだ少なく、模試の平均点が低い段階で努力して点数を上げれば、偏差値は飛躍的に向上します。
その結果、「勉強をがんばれば成績が上がる」という実感を得ることができ、やる気も上がっていきます。逆に、周りが当たり前のように受験勉強をしている3年生の段階では、偏差値を上げることが難しくなります。
受験勉強を早く始める理由③ 勉強時間の総量を増やせる
学校の小テストや定期テストのように、「勉強をやりきった!」「これで満点だ!」という状態になることは受験ではほぼないでしょう。つまり勉強時間が足りなくなることがほとんどと言えます。
どれだけ限界まで勉強したとしても、1日にできる時間には限界があります。受験勉強を始めてからは、勉強時間を最大化するのは当然ですが、いかに早く勉強を開始することの重要性に気づき、実際に開始できるかで、勉強時間の総量を増やすことができます。
高校3年生の4月から共通テストまでに家庭学習が可能なのは2,292時間
高校3年生の4月から共通テストの受験日まで、家庭で学習可能な1日あたりの時間数は、平均して平日が6時間、土日が12時間と考えると、合計は2,292時間※になります。
※54時間/週〈1日6時間×平日5日間+1日12時間×土日2日間〉×4週×9か月〈12月末まで〉+夏30日間×6時間+冬10日間×6時間+1月の2週間。 夏休みは40日間として平日30日間、冬休みは14日間として平日10日間が6時間増えたものとして計算。
ここから学校関係で使用する時間を削っていきます。
4月からの合計2,292時間から878時間を引くと1,414時間になります。特に国公立のように多くの受験科目を必要とする場合は、1科目に充てられる勉強時間は少なくなります。もしここから過去問演習の時間を除くと、国公立の場合は、実際には1,000時間少ししか残らなくなります。
国公立で8科目の場合
1,414時間÷8科目=176時間
実際には配点を考えて科目比重を動かしますが、等分で考えると1週間54時間で計算しているので、目安としては過去問演習込みで1科目3週間ほどで完成させていく計算になります。
私立で3科目の場合
1,414時間÷3科目=471時間
環境が異なるので全員がこの数字になるわけではありませんが、一つの目安として見ていただき、高校3年生からの勉強開始がどれほど少ないかを理解しておきましょう。この総量を、早く勉強を始めることで増やしていく必要があります。時間は有限です。受験日は決まっています。自分が行動しなければ時間を増やすことはできません。