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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

超ブラック上司、頭も人柄も悪くない裏に潜む病理

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第65回】 2016年12月21日
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初対面では好人物だが…
研究所を壊した新任所長

 先日、ある外資系企業の研究所に勤める男性から興味深い話を伺った。その男性(Aさん)はその研究所の1プロジェクトを任されている主任研究員で、さらに所内に配属された、若手研究員の育成プログラムの責任者でもある。

いい人にしか見えないのに、いざ赴任したら驚くべき破壊力で組織を壊した新任所長。なぜこんなことが起きたのだろうか?(写真はイメージです)

 彼の仕事は、自分のプロジェクトの研究の他、若手研究員育成のためのプログラムを開発し、実行することだ。

 さらに、若手の創造性を伸ばすために、プロジェクトとは別の小規模個人プロジェクトを立ち上げさせ、そのための研究費支援も行っている。そのプロジェクトが順当に行われているか、研究費の使い方は適切か、などもAさんはチェックする立場にある。

 そのプログラムは若手研究者には好評で、特に他社から転職してきた若手からは「これだけサポートしてもらえるのは嬉しい」とのコメントをもらうことが多かった。当然のことながら、これらの遂行には、それなりの予算が必要で、研究所ではそれらの遂行に必要十分なだけの予算を確保していたのだが…。

 一昨年からその研究所に、新しい所長が赴任した。外国人で、同業の別会社の研究所から引き抜かれて抜擢された人事だった。研究業績もある人なので、官僚的にならず、研究者の立場で物事を考えてくれる人物だろうと皆が期待していた。

 Aさんも、赴任直後の新所長に会ったところ、物腰のやわらかい、人の好さそうな人といった印象だった。

 だが、それから2年。Aさんによると、いま研究所は機能不全直前だという。一体何が起こったのか。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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