「長期投資するなら米国債がおすすめです」って言われたらあなたはどう思いますか? 「え? 格下げされたけど大丈夫?」「長期投資なら投資信託じゃないの?」「アメリカってやばいんでしょ?」――はい、昨今の報道を見てなぜ米国債と思う気持ち、わかります。しかし、もし米国債に知られざる魅力があるとしたら知りたいですよね。そこで、日本の財政事情や債券についての知識も深まる異色のマネー本、『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』を出版した林敬一さんに、一般の方に馴染みの少ない米国債投資の魅力を解説してもらいます。

その投資、「ストレス・フリー」ですか?

 私は多くの方にとって資産運用で大切なことは、「ストレス・フリー」であることだと思っています。

 もちろん、値上がりしたり値下がりしたりのスリルを楽しみたいという方もいるでしょう。でもほとんどの方は「元本割れするのではとビクビクするくらいなら預金でいい。でも本音を言えば、預金よりちょっとは増えてほしい」ではないでしょうか。

元本割れに怯えることなく、そして預金よりよい利回りで増えるもの。

 そんな金融商品があれば……。

 そこで、私がみなさんに紹介したいのは「米国債」を使った長期投資です。

 えーっ、米国債って一般の人も買えるの!? 

 米国債って元本割れを心配しなくていいの!? 

 米国債ってデフォルトするんじゃないの!?

 そんな声が聞こえてきそうです。これからそれらの疑問にお答えしていきましょう。

 まず、債券について簡単に説明します。

 債券とは、資金を調達したい国や会社などが発行するもので、投資家は債券を買えば金利を得ることができ、満期(償還)には額面金額が戻ってきます。国が発行する債券を「国債」、会社が発行する債券を「社債」と言います。

 債券の特徴は、購入時に、満期まで持った場合の最終利回りが確定しているという点です。利回りに納得がいけば買う、納得がいかなければ買わないということができます。

 ただし、債券にもリスクはあって、発行体(国や会社など)がデフォルト(破綻)すれば、金利の支払いが遅れたり満期に戻ってくるはずだったお金が戻ってこなくなったりします。

 また、満期前でも市場で売却することができますが、いくらで売却できるかはその時の市場価格次第です。この場合、状況によっては元本割れになることもあります。つまり、満期まで保有すれば決まった額が返ってくるけれど、途中売却すると価格変動のリスクがあるということです。

 米国債はアメリカ政府が資金調達のために発行している債券です。日本の大手証券会社で簡単に買うことができます。米ドル建てで、一般に1000ドル(約8万円)から購入できます。