つまり、「手話が第一言語」のろう者には、日常生活において手話通訳士の配置や派遣、あるいは、テレビ電話を使った手話通訳サービスが必要になる。そして、状況によって当事者がどちらでも選べる環境をつくることが急務である。

「みえる通訳」では、フランス語やベトナム語と並んで、「手話通訳(日本手話)」のサービスも始まった今年3月、テリロジーサービスウェア「みえる通訳」フランス語やベトナム語と並んで、「手話通訳(日本手話)」のサービスも始まった 拡大画像表示

8年たっても成立しない
「手話言語法」

 実は、全日本ろうあ連盟は2010年から、ろう者が手話を用いて安心した日常生活を過ごせるよう、「手話言語法」制定に向けて活動を続けている。

 法案では、「手話はろう者にとっての言語で、日常生活や職場等で自由にコミュニケーションとして使うことができる保障」を目指す。世界の先進国で、本法律が制定されていないのは日本だけという。

 手話言語法案をもとに、全国の都道府県、および、市町村議会で「手話言語法制定を求める意見書」の採択運動を展開した結果、全国1788議会で承認された。

 また、地方自治体が手話言語に関する条例を制定する動きも加速化している。本稿執筆時点では、179自治体(22道府県1区137市19町)で成立した。条例では、「手話が使える環境を整備することは自治体の責務である」として、社会における手話の理解や、耳の聞こえる人を含めた手話を学ぶ機会を確保すること等が盛り込まれている。

 このほかにも、同連盟は「国会中継での手話通訳や字幕挿入を要望している。特に、予算委員会の中継は関心を持って見ているが、やりとりの内容がわからず困っている」と言う。ろう者にとって、薬師寺みちよ参院議員らの手話ができる議員の質問はわかっても、答弁では何を話しているかわからないそうだ。

 8年間も、同じ法案を出し続けているとは、大変驚く。ろう者や手話を軽視していると言わざるを得ない。「人権問題として、この課題を知り理解していこう」と社会に呼びかけたい。