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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の13「伯楽すでに没す」(屈原賈生列伝)
嫌な上司を好きになれ。
あなたが変われば、上司が変わる。

江上 剛 [作家]
【第13回】 2012年4月10日
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 上司に認められない、仕事を真面目にこなしているのに評価してもらえない、上司に苛められると嘆く人は多い。

 あなたがどれほど期待したって、名伯楽と言われる、人材を発掘し育てる人なんかそんなにいるもんじゃない。

 たいていの上司は、自分のことで精いっぱいで、あなたの実力を認めるほど、心の余裕がない。またあなたが認められ、自分を追い越して行くことに、極端な嫉妬心を抱いている上司もいることだろう。

屈原の悲劇

 中国の春秋戦国時代に屈原(BC343年~BC278年)という詩人であり、政治家である人物がいた。

 屈原は有能で清廉な人だったので、楚王の信頼が極めて厚かった。そのため周囲の妬みを買い、讒言(ざんげん)に会い、最後は懐に石を抱き、汨羅(べきら)に身を投じて死んでしまった。

 ちなみに死んだ日が5月5日で、屈原の死を悲しんで人々が汨羅にちまきを供えたことから、子どもの日にちまきを食べるようになったという。

 屈原の悲劇は、王、すなわち上司に恵まれなかったことだ。周囲の讒言に耳を貸し、一番、自分を大事に思ってくれていた屈原を死に追いやってしまったのだ。二千数百年前だって、現在だって上司に恵まれないのは同じだってことで、ちょっと安心しないか(しないだろうな)。

 屈原が汨羅に身を投げる際に読んだ歌が、「懐沙の賦」だが、それには自分の思いが認められないことを嘆き、

 「伯楽すでに没す、驥(き)、はたいずくんぞ程(はか)らん」

 と詠っている。「伯楽と言われる人はもはやいない。駿馬を見極めることができる人がいない悲しさよ」というような意味だ。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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