厳しい立場から寛容な立場まで
大阪市が実施した「刺青調査」
大阪市の職員が、子どもに自分の刺青を見せて脅す事件が起きた。これを受けて、橋下市長は、市職員に対し、刺青の有無を問うアンケートを行ない、その結果110人の職員が「自分は刺青を入れている」と答えたという。
彼らに対して、橋下市長は、「刺青を消すか、刺青が許される場所で個性を発揮すればいい」と言った。発言の後半は、「民間に転職すればいい」と言ったとも伝えられた。その後、橋下氏は彼らを、市民と接触がない部署に配置転換する意向を明らかにした。
職員を対象としたアンケート調査を行なったこと、刺青は公務員にふさわしくないと述べたこと、さらに、刺青のある職員の配置転換の方針に対して、「当然だ」という意見と「やり過ぎだ」という意見の両方がある。
純粋に個人の損得の問題として考えると、面接のときにそれとわかるような刺青を入れていることは、公務員でなくても、多くの企業で就職の際に不利だろうし、就職後に刺青を入れて不利になる場合も少なくないだろう。
それでも、刺青を入れる理由は何だろうか。示威的な目的で入れる場合もあるかも知れないが、本人の美意識や価値観であることもあるだろう。もちろん、入れている刺青の大きさや絵柄、入れる場所などによっても、効果は異なる。
刺青自体の良し悪しまで話を拡げると論点が絞り切れないので、「公務員の刺青」に話を絞ろう。これに対して厳しい立場から、寛容な立場まで、考えられる対応を並べると、次のような選択肢がある。
(1)刺青は公務員にふさわしくないので、解雇すべきだ。
(2)刺青は公務員の対人的サービスの部署にふさわしくないから、配置転換は妥当だ。