もはや、大手企業に勤めたからと言って、一生安泰とは限らない――。日本のサラリーマンは、改めてこの言葉を噛み締めている。不況が長引いているとは言え、多くの日本企業のベースには、根強く終身雇用の理念が残っている。「リストラ」という言葉をどこか他人事のように聞いていた向きも多いだろう。しかし、いよいよそうも言っていられない雲行きになってきた。ここにきて、大赤字に陥った大手家電各社が、軒並み大リストラを発表したのだ。その影響もあり、「明日は我が身」と不安を感じる人々が増え、疑心暗鬼の連鎖が起きつつある。時ならぬ「リストラの春」に、世間のサラリーマンはどんな危機感を持っているのか。また、我々はもしものときに備えて、どのような人生プランを考えておけばよいのだろうか。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

もはや大手でも安泰とは限らない
電機各社「リストラの春」に募る不安

 もはや、大手企業に勤めたからと言って、一生安泰とは限らない――。日本のサラリーマンは、改めてこの言葉を噛み締めている。

 この言葉は、バブル崩壊、リーマンショックなどを通じて、日本中の企業でリストラの嵐が吹き荒れる度に、半ばサラリーマンの「常套句」のように語られてきた。とは言え、当時リストラの憂き目に遭わなかった人々にとってみれば、どことなく実感の湧かない言葉だったろう。

 成果主義が浸透したとは言え、多くの日本企業のベースには、根強く終身雇用の理念が残っている。いくら会社の業績が悪化しても、管理職はともかく一般社員までもが大幅に賃金をカットされたり、退職を迫られることなど、正社員には考えづらかった。どこか楽観視していた向きも多いに違いない。

 ところが、いよいよそうも言っていられない雲行きになってきた。家電市場での惨敗、大震災による混乱、欧州危機に端を発する円高などにより、大幅赤字に陥った電機メーカー各社が、ここにきて続々と大量リストラを発表している。その影響もあり、雇用に不安を感じるサラリーマンが増えているのだ。

 今年1月にNECが国内外の従業員1万人の削減を発表した衝撃が冷めやらぬなか、4月にはソニーがグループ社員1万人を削減すると発表。シャープでは、生産・研究開発部門を中心に、国内の正社員約900人を配置転換する。足もとではパナソニックも、創業以来の「聖域」に踏み込んだ。事務部門、研究開発部門、生産技術部門など本社従業員約7000人を対象に、他事業への配置転換や早期希望退職の募集を通じて、3000人~4000人を削減するというのだ。