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ミャンマー その投資ブームは本物か

政治・経済分野に比べて進む労働者の“民主化”
マニーが気を使う当局との絶妙な距離感(3)

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第9回】 2012年10月4日
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 前回は、医療用精密器具のトップメーカーのマニー株式会社の、ミャンマー進出後に直面した人的管理面や文化的な違いについてご紹介した。今回は、進出後の工場での運営における労務管理に焦点を当てたい。

マニーのミャンマー工場

 どんなに人件費が安い場所に工場を設立しても、また現地従業員の国民性がいかに素晴らしいと言われていても、実際の仕事の現場でそれを発揮できなければ、机上の空論で終わってしまう。

 ミャンマーは工場立地として最適かもしれない。ただ、それはあくまでも可能性の話であって、実際本当に思い描くように現地従業員が動かなければ、現実の世界では全く意味をなさない。

 マニーはミャンマーへの工場設立当初から、日本人の駐在員1名で、現地の工場を管理してきた。その過程において、現地での幹部候補をどのように育てていくか、現地従業員のやる気をいかに高めるか、現地ならではの労務問題への対応、現地の労務監督局との折衝など、日々のオペレーションの中で、幾多の問題への対応を行ってきた。

 今回も松谷貫司会長、そしてそれを実務面からサポートしてきた高井壽秀副社長、榎本勲MANI YANGON LTD社長にお話を伺った。

日本人1人で300人の
ミャンマー工場を回す秘訣

 ミャンマーの工場には、300名以上の従業員が働いている。その工場に、日本人は実は1名だけ。それがMANI YANGON LTD社長の榎本氏だ。

*  *

――ミャンマー工場での日本からの駐在員は、昔から1名だったのですか。

松谷会長 最初から1人です。途中一時的に2名になったときもありますが、基本は1名です。

高井副社長 海外展開での基本方針として、技術伝承は日本でやり、現地の工場に持っていきます。また現地のオペレーションは、基本的に現地の人にやってもらいます。そういう方針でベトナムも展開していきました。

松谷会長 ただ、ミャンマー人の教育はベトナムでやっています。そのほうが、日本に来て教育をするよりも離職率が低いですね。ミャンマーから来た人が、ベトナムの工場に来て辞めるという話は聞いたことがありません。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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