ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

イノベーションのジレンマを克服する
クリエイティビティを高める組織・人事

高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]
【第8回】 2012年12月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

文明を興す力

 古くから、世界には4つの文明が栄えたと言われています。この四大文明とは何でしょうか?

 これは中学生向けのクイズである。ヒッカケ問題ではないので、それほど難しくはないだろう。もちろん正解は、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、黄河文明の4つだ。それでは第2問。

 これらの文明を興す元となったものは何でしょうか?

 模範的な中学生の解答であれば、「大河の流域」ということになるかもしれない。確かに、初期の文明は、水の恵みによってもたらされた。しかし、ここで注目すべきものは大河ではない。人類にのみ備わっているもの、人類と動物とを分けるものに目を向けてほしい。それが今回のテーマでもある。

 答えは「創造性(クリエイティビティ)」だ。創造性は、これまで人類がさまざまな文明を開化させる原動力であるとともに、現代においても、もっとも重要な資質の1つである。歴史を通じて、人類を前進させてきた力なのだ。

 たとえば、シカゴの科学産業博物館やミュンヘンのドイツ博物館などに行けば、近代における産業発展の歴史を振り返ることができる。鉄道や船舶、自動車、航空機、ロケット、電気機器、コンピュータなど、近現代の発明品を間近に眺めることができる。そして、人類がどれほど創造的な活動に携わってきたのかを実感することができる(皮肉なことに、戦争によってどれほど発明が促進されてきたのかもわかる)。

 創造性のおかげで、われわれは刻苦を乗り越え、リスクを冒し、新たな地平を探索することができる。また企業の側では、従業員の創造性を最大限に活用し、大きな利潤を生みだすことができるのだ。

次のページ>> ビッグCとリトルC
1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1984年慶應義塾大学文学部卒業、1996年米国ミネソタ大学(University of Minnesota)経営大学院博士課程修了(Ph.D.)。南山大学総合政策学部助教授などを経て、現在,神戸大学大学院経営学研究科教授。専門は産業心理学と組織行動論。経営と人事管理に関連した事象を心理学的なアプローチから研究している。主な著書に『〈先取り志向〉の組織心理学―プロアクティブ行動と組織』(有斐閣・分担執筆)、『人事評価の総合科学―努力と能力と行動の評価』(白桃書房)、『Jリーグの行動科学―リーダーシップとキャリアのための教訓』(白桃書房 編著)など。


高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

日本企業の人事制度・人事施策を別の視点から考え直す。それが本連載の目的だ。これまで、長期の雇用と年齢にともなった処遇を旨としてきた日本の組織。それが、グローバル時代に通用しなくなってきた。たとえば、新規学卒者の一括採用、年次によるキャリア管理、処遇に直結しない人事評価、OJT偏重の人材育成、遅い昇進と幅広い異動など。これを象徴的に「ガラパゴス人事」と呼んでみよう。日本の組織で特有に生まれた人事の仕組みについて、ミクロの視点から鋭く切り込んでいく。また、グローバル展開を目指す組織にとって、現状の問題点をあぶりだす目と、変革のための示唆を与えていく。

「高橋潔 「脱」ガラパゴス人事」

⇒バックナンバー一覧