中国による企業誘致活動に変化

 海外での中国の企業誘致活動は、高級ホテルの豪華な会場を借りて派手に行われるのがこれまでの慣例だった。しかし、今度の一連のビジネス誘致にはいくつかの共通点がある。

(1)作戦スタイルの変化

 かつての大掛かりな誘致大会から「小分隊(小さなチーム)」による分散作戦へ変化した。たとえば、昨年11月17~23日、蘇州市商務局が日本に送り込んだ誘致団は12の誘致チームに分かれて、わずか数日間の滞在日程にもかかわらず合計62の日本企業と関連機構を訪問したという。対外貿易を担う貿易商社チームは日本の顧客200社余りに挨拶し、新規注文も獲得できたようだ。

 無錫市が送り込んだ誘致団も同様だ。小豆貿易の専門会社から来た5人の女性はさらに2つのチームに分かれて、顧客のもとに直行する。既存顧客9社と新規顧客5社を1社当たり2時間ずつ訪問し、ニーズの変化、流行、将来のトレンドについて丁寧に市場の実地調査を行った。

 ある貿易会社の75歳の社長は、自らチームを率いて8日間で7都市を回り、9社の顧客を訪問した。メディアの取材に対して、社長は次のような感想を述べている。

「日本のバイヤーから、この3年間で、彼らの会社が迎えた最初の中国サプライヤーだと言われた。このタイミングで日本を訪問したことは、日本のバイヤーに深い印象を残し、われわれの誠意をお見せすることができたのではないか」