北朝鮮のサッカー協会を
ペナルティーが待ち受ける

 日本戦は平壌で過去に4度開催されているが、実は北朝鮮は2勝2分けと無敗で、得点すら許していない。だが昨今の森保ジャパンは力をつけ、ヨーロッパ組を多くそろえている。21日の代表戦でも日本が勝利した。このままでは平壌での不敗神話が崩れるかもしれない――。政権上層部がそんな懸念を抱いたとしてもおかしくない。

 さらに言えば、「サッカーを通じて両国間の関係が改善される」という事象そのものが忌み嫌われた可能性も考えられる。これらはあくまで筆者の見立てだが、今後のDPRKFAを、FIFAから科される数々のペナルティーが待ち受けているのは確かだ。

 中止となった一戦の扱いはFIFAの規律委員会に付託される。日程を変更した上での開催も見送られた以上は、没収試合の一択となるだろう。その場合は3-0のスコアとともに日本の不戦勝となり、森保ジャパンは無傷の4連勝での2次予選突破と9月に始まるアジア最終予選進出が決まる。

 DPRKFAに対しては、規定により最低でも4万スイスフラン(約668万円)の罰金が科される。日本が北京経由で渡航する上で、すでに発生していた諸経費も弁済される対象となるだろう。

 現在のスケジュールでは、北朝鮮代表は今年6月、平壌でシリア・ミャンマー両代表との連戦に臨む予定だ。だが両試合を主催するDPRKFAは、この2カ国を問題なく入国させて公式戦を実施できるのか。再びトラブルを起こせば、理由は違えども、前回予選と同様にグループから除外される可能性も捨て切れない。

 一連のドタバタ劇を介して、AFCの機能不全ぶりも浮き彫りになった。

 すべての発端は、DPRKFAが緊急レターを介して申し出た平壌での日本戦開催返上に疑問を呈さず、すんなりと受理したAFCにある。さらに、AFCが中立国を選定すると一度は明言したことも解せない。結局、それから半日後にはFIFAに判断を仰ぐ形で26日の試合自体がなくなり、その後の対応もFIFAに丸投げした。