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若者の鉄道事故死を20%減らした
「まぬけな死に方」が人を動かすわけ

続・カンヌレポート―受賞作品の「ART&SCIENCE」を読み解く

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第41回】 2013年7月29日
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「まぬけな死に方」が
  若者に拡散した理由

前回に続いて、今年の「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」(Cannes Lions International Festival of Creativity)で私が感じたことについて、お話ししたいと思います。 

 今回のカンヌでも、たくさんの素晴らしい作品がアワードを獲得しました。中でもオーストラリア地下鉄METRO TRAINSの「DUMB WAYS TO DIE」、ブラジルのUNILEVERが発表した「REAL BEAUTY SKETCHES」、そして、米国東芝とインテルの共同プロジェクト「THE BEAUTY INSIDE」という三つの作品が複数の部門でグランプリやゴールドを受賞し、注目を集めました。

 とりわけ、「ダイレクト」「PR」「ラジオ」「フィルム」「インテグレーテッド」の五部門でグランプリを獲得し、最も話題になったのが「DUMB WAYS TO DIE」(まぬけな死に方)です。

 オーストラリアでは、若者の鉄道事故による死亡者数が増加していて、彼らに公共の安全メッセージが届いていないことが問題視されています。

 そこでMETRO TRAINSは、「まぬけな死に方」のいくつかのパターンをアニメーションで作り、「最もまぬけな死に方は、鉄道の落下事故」というオチを付けたストーリーを展開したのです。同時に、列車内広告、アニメのBGMのカラオケ、ゲームアプリ、絵本、ラジオ局への無料配信……など、拡散施策も仕掛けました。

 結果この作品は、公共機関のキャンペーンとしては、史上最も多くシェアされた広告となりました。獲得したシェアの数は300万件。ターゲットの46%がこのキャンペーンを認知しており、当初目標としていた25%を大幅超え。YouTubeでの再生回数も5400万回(7/25現在)を超え、このキャンペーンによって落下事故は、前年同期と比べ21%も減少したということです。

 普通ならば、事故防止のキャンペーンを「まぬけ」なアニメで訴求することは考えにくいでしょう。しかし、伝えたい相手が若者であるがゆえに、そのインサイトに寄り添ってネガティブな恐怖訴求の逆を行ったのです。「まぬけ」と半ば楽しく訴求した点が非常に印象的でした。

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藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

 


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