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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の58「論語」を読む。
「富貴天に在り」が語っていること

江上 剛 [作家]
【第59回】 2014年1月21日
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 年末の大納会では株価が1万6200円を超えた。株価は、この1年で60%近くも上昇したらしい。

 何が民主党と自民党との違いなんだろうか?

 アベノミクス効果であることは間違いない。財政出動と金融緩和の効果が出ているのだが、その次の成長戦略は効果が出ていないと大方の識者は批判する。

日本企業は「NATO」

 効果が出ていないものを批判するのはたやすいことだ。しかし成長戦略は、半分以上は民間の責任だろう。規制を緩和してくれ、法人税を下げてくれ、労働規制も緩和してくれと政府に頼むことばかりで自分で何とかしようという気概が少ないような気がする。

 新興国での投資も設備絡みになるとODA(政府開発援助)頼みの大企業が多い。確かにリスクはないが、それでは現地のニーズにマッチしない。ODAとは税金だ。国民の金で企業が自分の懐を肥やそうとする考え方は卑しいではないか。多くの国で「NATO」(ノーアクション・トークオンリー)と揶揄される日本企業の話を聞いた。恥ずかしい気持ちになった。

 日本の新聞等を読むと、華々しく新興国案件を受注したと書いてあることが多いが、あれは「宣伝」に違いない。実態は、欧米や中国、韓国に負けていることの方が多い。彼らは、自分の金、自分のリスクで攻めて来る。自分の金なら話は早いし、使い勝手もいい。新興国も大歓迎だ。安倍首相は、アジア、アフリカの新興国に気前よく援助の金をバラまいているが、もっと大企業にもリスクを取るように仕向けないといけないのではないか。

 社員の給料も同じだ。安倍首相が、アベノミクスの腰折れを懸念して必死に財界に頼んでいるのに反応はいま一つのようだ。企業の当座に200兆円以上も現金が唸っていて、また金融緩和した資金も結局は日銀にある金融機関の当座預金に100兆円以上も滞留しているというではないか。これで景気が上向いている、株価は2万円、3万円だとはしゃぐのはちょっと眉に唾をつける話だ。本当の景気回復は、社員の懐が潤って、市中に現金が流れるようになってからのことだろう。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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